
私は無香派
汗はなぜかくのでしょうか。
本日は、代謝生理学がご専門であられる、マタチョーセッツキ大学準教授・今許梨代先生をお招きし、汗のお話をしていただきます。
では先生、よろしくお願いします。
はい。皆さんGood afternoon.
あら、これ日本の放送でございましたね。
ごめんあそばせ、ホホホホホ。
そうそう、汗の話よね。
あたし、汗っちゃう。
あら、ごめん。違うわ。焦っちゃうでしたわ。
汗ってね、サンズイに干すって書くけど、面白いわね。確かに汗は自然に乾いちゃうもの。
でも、焦るっていう字は焦げちゃうわけ。でね、この焦げるという字を分解すると、お魚が火の上で……。
あのう、先生。
お話の途中でたいへん失礼かとは存じますが、そのー、汗の役割とか何か……。
あら、そうでした。
今日は汗の話よね。
ごめんなさい。あたし趣味で、漢字とシュメール楔型文字の研究をしているものだから。
でね、楔型文字なんだけど、これがまた面白いのよ。
日本語そっくり。
文字は、実は漢字にも似ていて……。
あらっ。また、話が違う方向に行きそう。
ええと、汗よね、汗。
ええ、ソジウム、いや分からないなあ。もっと簡単に言うと、アニオンとカチオンのバランスって大切なわけ。
で、アニオンが……。
たびたびすみません。
先生のお話はたいへん分かり易いと存じますが、アニオンとかカチオンとかは、やや聞き慣れないお言葉ですので、できればあと少し簡単に説明していただけますと……。
あら、そう。
じゃあ、あと少し噛み砕くわね。
海の水って塩っぱいわよね。
さあ、どうしてそう感じるか分かる?
あのね、驚かないで。
海の水には、なんと塩が入ってるからなのよ。
どう、驚いた。すごいわよね。
日本で塩は、1キログラム100円じゃ買えないわ。いったいどれほどのお金持ちが、海に塩を入れたのかしら。
アメリカとかなら岩塩があるから安いけど、昨日の為替レートで換算しても……。
あらら、また話が飛んじゃった。
汗、汗よね。
ガマの油も汗。
敵がきたら嫌な臭いを出して撃退しちゃう。
そうよ。
嫌な相手には、香水の臭いをガンガン振りまいて窒息死させちゃう。人間も同じね。
えっ?
セイカンスプレー。
あら、フェロモンのことね。
そうね。
アブラムシもチョウやハチにもあるわね。
えーっ。
日本では、人間用の商品が売ってるわけ?
へえ。知らなかったわ。
性感スプレーねえ。
ずいぶんストレートな名前だこと。
あたしも使ってみようかしら。