
……ということでありまして、これからは電源喪失した際の具体的な対応について討論を行います。
まずは、南多可奈君。
君の考えはどうかね。
はい。バケツリレーがもっとも確実な方法と思いますわ。
関東大震災でも、バケツリレーで延焼を食い止めていますから。
ほう、なるほど、それは素晴らしい。
海にも近いし、それは有効だね。
委員長。
しかし、バケツが流されたりしていたらどうしますか?
うん。井屋那琴弥君の意見はもっともだな。
よくぞ、そこに気付いた。
伊達に、現場でウランをバケツ運びしていただけではない。
素晴らしい着眼だ。
どうだね、諸君。
この重大な問題の解決策について、何かいいアイデアはないかね。
……。
ダメか。
おっ!亜穂甲斐名君。
いいアイデアでも考えついたかね。
はい。
現場はほとんど男性ですから、セクハラにも抵触しないかと確信していますが、小便を引っかけたらどうでしょうか。
これならバケツも何も必要ありません。
おお、よくぞ思いついた。
さすが、亜穂甲斐名君。偉いぞ。
おい、書記官。ちゃんと記録しただろうな。
君は勲章ものだ。
★現在ある原発において、補助電源も喪失した際の対応策はない。
物理的方法において、制御棒の緊急挿入と1回の大量冷却水投入がやっとのことである。
さらに、現在日本にある原発においては、制御棒の物理的挿入さえ不可能な構造のものがあるやに感じる。
冷却水投入も、単回では意味をなさない。
多少時間がずれるだけの話だ。
つまり、今回のストレステストの結果は、計算する必要など全くと言ってよいほどない。
では、なぜ命令をしたのか。
考えるまでもない。
時間かせぎであろう。
原発に多少知識のある方なら分かるはずだ。
私のようなど素人でさえ、すぐに考えられることだから。
厭味ついでにもう一言言わせていただくと、漏水に新聞紙とおがくずを詰めたり、実際に臨界が数キログラムの放射性物質を人がバケツで操作したり、石ころ堤を津波防波堤とする先生方に、この話をバカを言っているななどと笑えるだろうか。