
私はきつねうどん 派
『Kの秘密』で少し触れましたが、日本語のカ行音はけものにも関係しています。
だいたい“けもの”のケ自体、すでにカ行音を含んでいます。
この日本語のカ行音、特にケやキなどは、けものを表す限定詞の役割をしています。
限定詞などという、聞き慣れない言葉が出てきました。
が、実は、私たちは無意識のうちに、これに似たものを使っています。
一つ例を挙げましょう。
柿を表す場合には(植)カキ、牡蠣の場合は(貝)カキのように表現することがありますよね。
この(植)や(貝)にあたるものを限定詞と言います。
つまり、言葉の意味、内容を限定しているわけです。
私たちが知る最も古い言葉であるシュメール(メソポタミア。今のイラク南部)語にも、この限定詞があります。
話を戻しましょう。
けものの名前につくカ行音は、けもののことだよ、というだけで、そのけもの自体の直接の名前ではないのです。
つまり、タヌキとは“たぬ”というけもの。 キツネとは“つね”というけものであり、ネコとは、“ね”というけものなのです。
では一体、“たぬ”とはどんな意味でしょうか。
たぬは、“たの”の音変化でしょう。つまり、タヌキとは“たの”けものです。
この“たの”とは、“田の”という意味です。
田とは水がはっている湿地というよりは、家の周りの野原程度の意味でしょうね。
では、“つね”なるけものキツネとは?
“つね”は、“当たり前にいる”くらいの意味合いでしょうか。
今の日本で、野生のキツネを見ることは難しいのですが、多くの民話にキツネが出てくるように、たいへん人に近い存在でした。
今でも北海道などでは、近づいてもあまり逃げたりしない、キタキツネに出会えることもあります。
では、“ね”というけものは?
これはお分かりですよね。
“にゃ”と鳴くけもの。
にゃこ→にこ→ねこ
でしょう。
また、同じくクマ、オオカミというカ行音がつくけものがいます。
が、こちらは“けもの”のカ行音というよりは、 “神”からの変化で付けられた可能性が高いものです。
あっ。
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きつねうどん、たぬきうどん、どっちが好き?
・きつねうどん
・たぬきうどん
ひとつ大切なことを忘れていました。
札幌のすすきのという所に夜な夜な出没するというキタキツネは、今でも化けるのがたいへん上手い、と聞いたことがあります。
ぜひ、お会いしてみたいものですね。
また、北海道に限らず、多くの家庭にタヌキがいるのだ、と聞いたことがあります。
これは何のことか、さっぱり分かりません。