『古事記』にかこつけて | しま爺の平成夜話+野草生活日記

しま爺の平成夜話+野草生活日記

世間を少しばかり斜めから見てしまうしま爺さんの短編小説や随筆集などなど
★写真をクリックすると、解像度アップした画像になります。

戦前生まれの方の話をまとめると、神武、綏靖、安寧、……と、後世の人が勝手に名前を創作してしまった天皇(架空を含む)名を順序違わず暗唱させられたという話は聞きますが、日本神話である古事記自体の知識は、ほとんどない場合が多いことが分かります。

いや、上述した神武天皇と名付けられた天皇が、神話のどのあたりに位置しているのかさえ知らずに、ただ丸暗記させられていたようです。


これは当時の状況からすれば、さもありなんでしょう。

なぜなら、もし神話を信じ、神武天皇と呼ばれることになった人物の存在を肯定するならば、神武の祖母及び叔母であり母でもある人たちは、鰐(=サメ)ということになってしまうからです。
これではいささか具合が悪いのです。

実は、鰐とは半島系の和邇氏を暗示している可能性もあります。

昔話にある『うさぎとサメ』の物語は東南アジア由来らしいのですが、これも因幡の素兎(出雲中心の古代日本王朝)と鰐(和邇氏)との戦争の記憶との見方も可能です。



かつて、近上天皇が高野新笠(のちにカンム天皇となる、山部皇子の母:百済系)について述べられた時には、少なからず驚きました。

ある程度古文を読んでいる者には常識でしたが、万世一系とかまではいかなくとも、天皇家に関しては日本人だけ(日本人という定義は難しいが)と考えている人や、中には、天皇は長子に譲るのが常識と考えていた人たちに、彼らの常識の誤りをやんわり諭したからです。


いや、残念ながら、あの会見に含まれていた内容を理解できなかった方のが多かったのかも知れませんね。

高野新笠?
ふーん。で終わりだったでしょう。
いや、その記憶さえないかも知れません。



また、戦後教育では、日本神話は軍国主義に繋がるとかいう考え方からか、まったくと言ってよいほど無視されています。

バカをおっしゃい。
古事記を一度でも読んだ方なら、あれが天皇家を敬ってばかりいる話ではないことは一目瞭然です。

だいたい、戦前には日本神話もろくに教えていなかったはず。
だから、神武、綏靖、安寧……などという、どうでもよさそうな名前を暗記しなければならなかったのです。

また現在の義務教育でさえ、聖徳太子の少し後までは天皇という存在自体が無かったことを教えていないではないでしょうか。

当時、聖徳太子と呼ばれて敬われていた皇子はいません。
聖徳太子は、いわば戒名のようなもの。タイムマシンで当時に行ったとしたら、聖徳太子と呼ばれた本人は、誰のこと?そんな不吉(これには長い説明が必要なので割愛)な名前?となるはずです。



分かり易く言えば、アインシュタインを遠い将来宇宙真理解明王、あるいはスタートレックのカーク船長を救地球将軍とか呼ぶのに似て、当時に全く関係ない名前であることや、架空の存在であることを教えず、ただただ丸暗記させているだけなのです。






ところで、少し言いたいことがあります。

私のような片田舎のボケが、こうしたことをわめいているならともかく、大物と言われる政治家が他国に行き、そこで日本国起源持論をぶつのはいかがなものでしょうかねえ。

かの政治家は、わずかな金のことでマスコミの吊し上げにあっています。
正直、その程度の金なら仮に桁が2つ位上でもたいしたことではないでしょう。
なぜなら、さらに0を3つも4つもつけた理不尽なことがまかり通っているでしょうに、そちらは全く無関心のマスコミだからです。



しかし、ああした講演はどうなんでしょうか。


力があるのは分かるのですが、どうもこのあたりが気になってしまうのです。

それでも、他国に行って、日本を潰しましょうみたいなことをしている国会議員の資格を違う方よりは、はるかにましですが。



と、新年に似つかわしくない話題だったでしょうか。




では。