その村には、マイクもスピーカーも1個しかありませんでした。
男はどうしても、それが欲しかったのです。
だって、“明日は、どぶさらいの日です。皆さん、朝5時にお稲荷さんに集まってください”って言えば、誰1人疑いもせずに、朝飯前にシャベルやホウキを持った老若男女が、お稲荷さんに集まってきましたから。
男は、マイクとスピーカーを盗むことが出来ました。
でも、集まる場所は、お稲荷さんではなくなりました。
また、用意するものもシャベルやホウキではなく、家で採れた柿やら、山に入って採ってきたキノコやらでした。
でも、親切でしたよ。
お返しに六文銭をくれましたから。
って、解るかなあ。
インターネット検索だけでは、難しいかも。
はい。
罰あたりですかい。
天罰?
うーん。
そっちとは、少し違いまするが。
はあ?
ええ、そう考えれば、五十歩百歩かなあ。