
親の仕事の関係で、幼稚園に入る前から二十歳くらいまで、ロンドン郊外のクロイドンという所に住んでいた友人がいる。
だから、日本人とはいえロンドンっ子と言っていいだろう。
ロンドンっ子だから、当然ながら英語を話すが、やっぱりロンドンっ子だから、 today の発音を、日本で教えている“英語”の発音ではできない。
だから、彼は英語を話してはずなのだが、日本の英語のテストでは、すこぶる成績が悪い。
なぜなら、彼は“日本で教えている正しい英語”を知らないからだ。
そんな彼は、ロンドンっ子らしく賭け事が大好きである。
あちらでは、賭け事をしない者は“身分のない憐れなやつ”という感覚まではロンドンっ子になっていないのが、かなり救いではあるが、とにかく何かあるとすぐ “かける”癖がついている。
先日、前を歩いていた髪の長い子が男か女かで“かけた”ことがある。
それに負けた私は、牛丼をおごるはめになった。
つまり、牛丼に何かを“かける”のではなく、“かけて”牛丼をおごった。