
2月に入ると、菓子メーカーは正月のたるみを抜け出し、急に活気づく。
バレンタインチョコの販売、配送に追われるからだ。
この聖バレンタインデーにチョコを贈るという行事は、すっかり日本に根付き、いまや、正月、お盆、クリスマスと並ぶ、日本を代表する習俗となっている、と言っても過言ではない。
しかし、これは戦後キリスト教の信者が、急に増えたからではない。
そもそもキリスト教国で、バレンタイン・チョコなるものがあるという話は、聞いたことがない。
それは当然だ。
このバレンタイン・チョコなるものを考え出したのは、日本の某大手菓子メーカーであると言われている。
菓子に限らず、2、8という言葉がある。
これは2月、8月は物の動きが少なく、決算前の苦しい時期を指す。
で、おそらく、某メーカーのアイデアマンが2月に何かないか?と考え出したものなのだろう。
キリスト教では、バレンタインデーに、恋人同士がプレゼントをやり取りするということがあるようだ。よし、これをチョコを渡す、それも購買潜在能力がある女性に限定しよう。
まあ、おそらくこんなところだろうな。
冬場だから、工場や店頭に普通にチョコを置いても、溶ける心配はない。
おそらく、運搬にもそれほど気を使わなくてすむだろう。
なかなかのアイデアだ。
しかも、菓子を買い慣れているであろう、女性に的を絞ったのが成功した。
最近は、男性のお返しであるホワイトデー、あるいはバレンタインデーに男性から女性に贈る、逆チョコなるものもあるようだ。
もともと女性から男性とは決まっていないのだから、逆という言い方はおかしいのだが、日本のバレンタインデー感覚では、逆ということになる。
近年、この風習がキリスト教徒の多い、お隣韓国に逆輸出されている。
昨年、韓国産のバレンタイン・チョコを食べた。
あれは、義理チョコとかいうものではない気がする。
食べて5秒後、
ハ~~~~ッ 。
トウガラシ入りだった。

ハロウィンも、少しずつ市民権を得てきている。
これもやはり、キリスト教の普及には関係なく、一種の経済活動が生んだものだろう。