
これは絶品である。
私が滞在していた頃で、10元くらい。当時のレートで日本円にして約1000円。とはいえ、確か全人代(日本でいう国会議員)の月給が200元あるかないかの時代だったから、向こうなら高級官僚の日給ぐらいの代物である。
酢辛湯麺は、店によって全く味が違う。
日本のある高級店そうに見える外観の中華料理屋で、その10倍くらいする値段のものを食べたことがある。
が、正直これは金返せと言いたいくらい悲惨な味がした。
露店の味噌ラーメンの方が、はるかに美味いものだった。
和平飯店本館の酢辛湯麺は、私が食べたことがないものだった。
干ナマコがふんだんに入っている。 とにかくスープをどうやって作ったのかわからないほど味が深い。
シンガポールあたりでは、仏陀ジャンプスープという、それこそジャンプしたくなるような(新入社員の給料をすべてはたいてもオーダーできない)値段のスープがあるが、それよりも奥行きが違う。
仏陀ジャンプスープは、透明で上品である一方、和平のそれはトムヤムにもテグタンにも、ツバメにもない、ある意味いやらしいこくがある。
初めて食べた時は閉口したが、慣れると病みつきになる美味さが隠れている。
私が上海に滞在していた時は、青島ビールとショウコウ酒、それとこの酢辛湯麺が夜の腹を満たしてくれることが多かった。
ただ、日本であれだけ豪華なラーメンを期待するのは無理だろう。
だから、今食べるなら、夏は塩か冷やし、冬なら味噌か胡麻だろうな。
実はとんこつのようなコッテリ系、ラー油が2センチメートルくらいの層になった、食べるのに1時間かかるようなラーメンもいいし、トムヤムラーメンや、テグタン麺、バーミーナーム、フカヒレラーメン、ココナッツミルク麺、麻辛麺も好きである。
はっ?
ええ、実はラーメンに限らず、ペペロンチーノにしろ、白石うー麺にしろ、鬼無里のソバにしろ、とにかく麺は好きですな。