学生時代に、一部では陸の孤島と呼ばれる岩手県早池峰山に登ったことがある。
6月だったが、風で飛んできた霧が氷となって、ノコギリの歯のような形で鉄の鎖にこびりついている。
山小屋からの風景に息を飲んだ。
私は田舎生まれ、田舎育ちだから夜空の星は見慣れている。
が、そこから望む全天の星は、初めて見る輝きと数であった。
天の川は確かに光る星の帯だった。
今私たちの大多数は、天の川をプラネタリウムの中でしか見ることはできない。
ボイジャーが遥か彼方の惑星を映し出してくれた一方で、私たちは頭上の星を見失ってしまっている。
これは、夜空の星だけに限らないだろう。