さあ、少しでも話を進めよう。
では、『岩窟の聖母』の気になる所をみてみよう。
まずは、ルーブルが所蔵しているものから、注目箇所を切り取ってみる。

この作品は、ダ・ヴィンチが中年時代に描いたもので、画材によるところや後年の修復にもよるだろうが、全体的に黄褐けているのと、黒を鮮明に打ち出していないため、やや締まりにかける。
ただ、ここで問題にしたいのは、そうした絵の品質や発展途上にあったダ・ヴィンチの技術力ではない。
まずは、全体の岩に注目して欲しい。
ひどく幾何学的なのである。
さらに不自然なのは、その岩にある穴、空間だ。
岩場にぽっかり空いた空間から、明るい光が差し込んでいる。
注目して欲しいのは、その空間の形なのだ。
右上、三角形の岩が寄せ集まったところにある隙間はY(フを圧しつぶした形)だ。
その下にある大きな空間(前の記事でクローズアップしている)は、神聖なる文字H(刀に似た形)である。
W(1のような形)は見にくいが、マドンナのすぐ後ろにある半光沢のある岩壁。
さらに左側にまたH(刀に似た形)が出てくる。
つまり、この絵を右上から左下に見ていくとYHWHという、彼らの絶対無二の神の名前が浮き出てくるのである。
ヘブライ語は、右から左へと読んでいくこととも考えあわせると、なかなか興味深い。
では、ロンドン所蔵の晩年の『岩窟の聖母』を見てみよう。

色合いがより重厚に、表情がより神聖化されたりはしているが、岩の空間、岩肌の反射は頑固なまでに同じである。
また、ヘブライ語Hには刀の ノ の部分は フの部分と少し離れるが、そのへんもよく似ている。
さて、そろそろ電車がくる。
では。