が、では、下の2枚を比べていただきたい。
上は『岩窟の聖母』ルーブル所蔵、下は同じくロンドン所蔵の天使の顔をクローズアップしたものだ。


どうですか。
まったくと言っていいくらい違いますよね。
主題に近い天使の表情でさえ、こんなに変えています。
なのに、なぜ、どうでもよさそうな岩と空間の形は同じなのでしょうか。
ダ・ヴィンチのメモは、反転文字で書かれており、普通の人は読めなかった、とも言われています。
が、これはおかしな話です。
反転文字なら私でも書けますし、普通の人に読めなかった、というのも変な話です。
仮に反転文字を書けなくても、読むことはさほど難しくありません。
下の絵は、ダ・ヴィンチが軍事顧問をしていた頃のものです。

残念ながら、私には読めません。
ただ、ラテン語というより古典ギリシャ語っぽい文字だなあ、と感じたりしています。
すべてに通じていた彼のことですから、古典ギリシャ語だろうが、ヘブライ語だろうが、それほど苦にはならなかったと思われます。
また、ある説によれば、彼は怪しいキリスト教のトップであったというものもあります。
これは考え過ぎだと私は思います。
ただ、正統なカトリックに何らかの不満を抱いていたであろうことは、彼の写実主義からも分かります。
彫刻に関しては、トップクラスと認めたとしても、絵画に関しては、彼の足下にも及ばないミケランジェロが、バチカンの絶賛を受けていたのも気分を害したことでしょう。
ミケランジェロは構図自体はずば抜けていますが、描写力については、ダ・ヴィンチの弟子にもなれないでしょう。
とにかく、女だろうが、老人だろうが、筋肉マンにしてしまいましたから。
今回で、このシリーズは最後になります。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
ついでに、私が『岩窟の聖母』に触発されて描いた絵でお開きとします。
題名は『天の岩屋戸』。
稚拙な絵ですが、100円ショップの絵の具と、ポリボトルを水入れに使い、1本の毛筆だけで描いた絵としてはそこそこと、自画自賛しております。
なお、写真は絵の一部ですが、これを拙著『ことのは呪縛と源』のカバーに使いました。

しま爺の色が出てしまったせいか、紀伊国屋の紹介では、このカバーは表示されていませんが。
トホホ