はるか昔のことだが | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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シンガポールにオーチャードロードという通りがある。 

日本なら銀座みゆき通りにあたるだろうか。 


とにかく、世界中の高級店が軒を並べ、40階と50階とかいうホテルが林立している。 

ただ、少し奥まった所には怪しげな店もないではない。 


その店はインド人の経営する高級宝石店だった。 

当時の私は、今履いているものがゆうに10足は買える程度の靴を履いていたし、それなりのラフな格好だったから、気楽にウィンドウショッピングを楽しめた。
もちろん、初めから買う気などこれっぽっちもない。
ある程度慣れてきて初めてできる、東南アジアならではの、スリルを味わうためである。



アレキサンドライトある? 
私は、なにげに言う。 


はあ、こちらにございますが。 

おやっ?という目で私を見る。

だいたいの日本人はダイアモンドを物色する。少し知識がある人なら、スリランカ産のサファイアか、タイからミャンマーの山間部で採れるバーマルビーがお目当てだ。



彼が案内してくれたのは、2、3カラットのものだ。 

ダイアモンドより希少性が高い宝石としては、まずまずの大きさである。 




ちょっと小さいなあ。


相手が、勝手にジュエリーバイヤーと勘違いしているのを訂正せず、こんなものは対象外という顔をする。 



しばらくすると、彼はシャッターを締め、待ってくれと言った。 




店の奥の方から、少し緊張した面持ちで小箱を持ってくる。 

そこには大豆より大きな暗緑色の石があった。 

20カラットくらいだろうか。 


ちょっと失礼。 


私は無造作にそいつをつかみ、水をすくう時のように両手を合わせたポケットの中にそれを入れ、目を近づける。 

ほのくらい光の中で、それは暗赤色となった。 


本物である。 



いくら? 



20万ドル。 


USドル?それともSPドル? 

SP。 


ほう、そりゃ安い。 

まあ、考えておくわ。 
また、来るよ。 






無事、私は店をでられたが、じわり背中に汗がにじんでいた。 



実は私は、装飾品としての宝石には、全くといってもいいくらい興味がない。

その時は、なんかの本でダイアモンドより希少性のあるもので、自然光下と人工光下では色が変わるというのを知り、自分の目で確かめたかっただけである。 


幸い何事もなく、スリルと一生に何度も見られないものを見せてもらった。 



最近アメ横で、かなり厳重な管理をされているアレキサンドライトを見たが、もちろん例ねものとはサイズがまるで違っていたが、値段だけはそれなりであった。 


やはり、同じシンガポールだが、日本人がよく行く店付近にある別の店では、アレキサンドライトと称して、桁違いに安いものを売っている。 


が、だいたいがガーネットの類であった。 





まあ、ただでいいものを見せてもらった。