1996年アトランタ 光と影 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

しま爺の平成夜話+野草生活日記

世間を少しばかり斜めから見てしまうしま爺さんの短編小説や随筆集などなど
★写真をクリックすると、解像度アップした画像になります。

一番好きなスポーツ選手は?  ブログネタ:一番好きなスポーツ選手は?  参加中


アトランタ五輪と言っても、若い人は知らないでしょうね。 

Qちゃんがマラソンで金メダルを取った、シドニーオリンピックの前にあった五輪大会です。 


その大会で、誰がどんなメダルを取ったかは、忘れてしまいました。 

が、決して忘れられない光景があります。 


それは、普通ならあまり記憶に残らないはずの、聖火の最終点火者とそのシーンです。

最後の最後まで、報道陣にも明かされなかったその人は、かつてのボクシングヘビー級王者モハメッド・アリ、その人でした。 


聖火を受け取ってから点火するまでの短い、しかし、当時の彼にとってはひどく長く重かったであろう何秒かを、今なおはっきり記憶しています。 


彼はかつては世界の英雄でした。その後パーキンソン病に倒れ、長らく公に姿を見せることはありませんでした。 


が、私にとっては恐怖すら覚える強さと、猪木をからかうステップの持ち主でした。


その彼が、私のイメージにあったブルドーザーではなく、今にも倒れそうな、すぐにも朽ち果てそうな姿となって、全世界に生中継されてしまったのです。 



私は涙が出そうになりました。 


また、怒りのようなものさえ込み上げてきました。 

アトランタ五輪は、商業主義を全面に出した大会でした。 


しかし、いくらなんでも、あれはやりすぎだろう、とも感じました。 


20世紀を代表するスポーツ選手に選ばれたモハメッド・アリ。 


彼は最後まで、憎いくらいふてぶてしく、強くあって欲しかったのです。 


アトランタでの黒人の立場も考え合わせると、いまだに複雑な思いがする、アトランタ五輪のモハメッド・アリでした。