
確か、フランス人の日本駐在商社員の方が書いたエッセイに、日本の理髪店の素晴らしさに感動したものがありました。
確かに、日本の理髪店の技術、サービスは世界最高レベルだと思います。
しかし、東南アジアなどには、同等のテクニックで日本の半額、いや、10分の1で至福の時を過ごせるところもあります。
今は1年に片手に余るくらいしか髪を切りに行けない、どうしようもない貧相爺ですが、かつて『天使の住む都』という意味のあるクルンテープにいた頃やシンガポール時代は、ほとんど毎週行っていましたなあ。
特にクルンテープ、インペリアルホテル近くにある店には、1週間の疲れと目の保養のために、土日のいずれか、場合によっては連チャンで行っていました。
その店は、日本では女性専門美容室のコマーシャルで有名ですが、当地ではむしろ男性客が多かった気がします。
長期滞在している、固いことでは有名なシンガポール人の友も、そこがすっかりお気に入りとなり、1時間おきっぱなしのラーメンみたいになってしまいました。
私は海外に行くまでは、男が爪の手入れだとか聞いただけで、背筋が寒くなるくらい毛嫌いしておりました。
が、なかなか素晴らしいものですな。
まあ、アートというより精神衛生上、大変いいかも知れません。
しかし、今の私は草むしり爺になり、大江山からやってきた鬼と勝負できるくらいですが……。
そうだ。これは特殊技能と言っていいと思うのですが、耳かきはすごいですなあ。
とにかく、耳掃除セットみたいものがあり、耳かきだけで、いろいろな形のものが10種以上あります。
さらに、鼻の油を取るための器具や、爪切り。
いやあ、田舎者には驚きでした。
私も小さな希望としては、毎週1回くらい、心身ともさっぱりしたいものです。
でも、ああいうところっていうのは、なぜ眠くなってしまうんでしょうな。
ああ、幸せだなあ、満足、満足。
と思いつつ、ついウトウトしてしまいます。
なんか、損をしたような気分になることもありました。
特に、ぞくぞくするほどの女性に、三回も四回もシャンプーされている途中で寝てしまった時などは。