
寿司がなぜ美味いのか。
簡単な話である。
寿司は酢飯と言っも叱られないと思うが、やや水の量を少なめにして炊いた白飯に酢をまんべんなく行き渡るように振りながら、炊き上がったご飯粒同士が独立した米粒となるよう、団扇で扇ぎながら混ぜていく。
実はここで手を抜くと、寿司の旨さが半減する。
というのは、寿司の旨さの秘密の1つは、ご飯粒とご飯粒との隙間、つまり空間によって決まるからだ。
上級者の握る、口の中に入ってから踊り出す米の甘味は、ネタがいいことは当たり前かも知れないが、実は、この何もない空間が絶妙だからでもあるらしい。
話は変わるが、握り寿司というのは演歌歌手に似ている。
歌手によってまちまちだが、大方派手な衣装を身にまとっているか、逆にひどく渋い紬などを着ている。
演歌歌手は、人によって好みも激しい。
同じ歌手の歌をずっと聞き続ける人もあれば、見向きもしない人もいる。
いくらばかり食べている人があると思えば、トロばかりの人もいる。
そして、演歌歌手も握り寿司も、サビが決め手だ。
一方、オペラはいろんなキャラクターが勢揃いしていて、全体て美を構成している。
チラシ寿司も同様だ。
いろんなものが集まって、チラシ寿司というものになっている。
私は、オペラ的なものは嫌いではない。
が、一人しんみりしたい時には、やはり演歌がいい。
最近は、アボカド寿司やフォアグラ寿司のように、カンツォーネやシャンソンを歌うものも現れている。
まあ、それも時の流れだから仕方ないのだろう。
寿司は日本独自の料理と思いがちだが、東南アジアでも、旧正月に、チラシ寿司のようなものを食べるところもある。