
「パパは本当にお化けが怖くないの?」
下の子が、まだ小学校低学年の時に聞いてきた。
私がいつも「お化けに会いたいよ。お化けがいたなら、どんなに幸せか」と口にしていたからだ。
最近、やっとその意味が次男坊にもわかってきたらしい。
つまり、お化けがいるならば、死の次の世界があることになるからだ。
ただし、私はいまだに『お化け』には会ったことがない。
私にとっては、ある意味で恋人以上に会いたいお化けさんには、どうも嫌われているらしく、その存在を暗示させる痕跡さえ残してくれない。
私が21歳になった春。 おそらく信心深い方なら、神とかお化けとかと思ってしまうであろう物を見た、経験したことはある。
が、その頃から既に斜めの視線を投げたりすることを覚えた私は、自分の肉体的な疲労と精神的な疲労からくる脳のお遊びと考え、いまだに不思議な経験であることは否定しないが、断じて霊だの神だのといったものとは違うと思っている。
だから、はっきりとお化けをこの目で見たいのである。
お化けの存在は、別の見方をしたなら、薔薇色の将来、生まれ変わることができる証でもあるからだ。
ただ、残念ながら、それを『見る』には、私の頭はあまりにも理系すぎる。
「パパは、お化けとお友だちなんだよね」
最近、私の言いたいことをわかり始めた次男坊は、嬉々として聞いてくる。