ブログネタ:【辺見えみりさんからのお題】昔の恋人が忘れられないことってある? 参加中昔好きだった、いや、仮に嫌いだったかも知れない人のことでも、かなりよく覚えていますな。
昨年の暮れ、30年ぶりくらいに会った仲間のことにしろ、みんながあまりに昔を忘れてしまっているのに驚かされました。
私より昔のことをよく覚えていて、さらに正確な情報を頭に格納していたのは、スペースシャトル実験に使う食品の研究などにいそしんでいる人物くらいでしたなあ。
例えば「あの時もらった桃は、私の人生の中で一番美味しかった」とK嬢に言ったが、本人は全く記憶にないらしい。
私なぞ、その色つや、歯ごたえ、甘酸っぱさまで覚えているのだが。
って言ったものの、これは、当然の話なのである。
Kさんにとっては、ごく当たり前の食べ物(例えば30年以上も昔のある日に食べた朝ごはん)のことまで覚えていたら、頭がパンクしてしまう。
脳は体を守るために、『忘却』という安全装置を働かせているからだ。
しかし、場合によっては、何でもないようなことを記憶に留めさせる。
前述の桃の話が、いい例だろう。
先の宇宙食氏にしても「●嬢の歩き方変わってないよな」と、考え方によっては、どうでもよいようなことをしっかり覚えているが、忘れているこても多い。
脳というのは、実にうまくできていて、かつ、わがままで、記憶に残すべきものと棄てるべきものとを自動判断する。
辛い思い出を薄めていき、甘さに変えるような、味なことまでする。
また、機械では捉えられない神様やお化けの映像を創作したり、聞かせたりすることもある。
だから、仮に昔の恋人の顔や名前さえ忘れてしまっても、その人をせめてはいけない。
脳がその人を守るまめに、必死で治療しているからだ。
そういえば『私が愛した数式』とかいう映画では、数時間しか記憶が残らない数学者を描いていた。
事故で最愛の人を『亡くした』男が、実生活では、その最愛の人に見守られている日々。
じわりと泣けました。
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私の母校である真岡高校はサッカーで有名で、プロになっている方もいる。
しかし、私がいた頃はむしろ、全国制覇した吹奏楽で知られていました。
当時、音楽の先生はSさんで、校長以上に鼻息があらく、部活で最も厳しいのは、野球部ではなく吹奏楽部と言われるくらいでした。
この先生がある時、私たちにある呪文を唱えました。
「君たちは、一生この曲を忘れることはできない」
「そんなバカな」
私は即座に思いました。
とにかく、歌詞がイタリア語ですぞ。
アルファベットにカタカナのルビをふりながら覚えましたなあ。
今思うと、あの先生は正しいことを言っていました。
あるいは、その呪文が強烈だったのでしょうかね。
いまだに私は、その呪縛から解かれておりません。
カーローミオ ベン
クレーミオル ベン
センツァデテー
カール グレッシャル コール
