
以前記事にしたことがありますが、小松重男の『金貨百枚』でしょうね。
最後のどんでん返し。
ひどい金の亡者と思われた医者が、実はこの上ない優しい人だった。
涙なくして読めません。
飛行機に乗るのが30回を越えたあたりから、急に空の旅が怖くなってきて、少しばかり、海外へ出ることはさておき、飛行機に乗るのが苦手になりつつあります。
5年ほど昔、久しぶりの海外出張のおり、私はこの本を携えて飛行機に乗りました。
もしもの時には、この本を読みながら……、との思いからです。
この小説が、なぜ映画化されないのか、不思議でなりません。
いや、できないのかな。
あとがきで、ある映画監督が、ラストシーンの感動を映像化するのは難しい、とおっしゃっていましたっけ。
とにかく、人情物語では私の理想、あるいは自分もこんな文章が書けたならなあ、といったはるか先にある目標のような作品です。