モウセンゴケ---サギーの末裔 第11話[最終回] | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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目覚めた時、私は会津の救急病院のベッドの中にいた。

右手には、リンゲルだろうか。静脈にチューブが射し込まれている。霧の中を彷徨しているのを村人が見つけ、交番に連絡してくれたらしい。 


秋の気配が忍び寄る8月末。


今度は、秋元湖から東へと、箕輪山を目指して杣道を登った。


しかし、案の定、香里の住む庵を探しあてることはできなかった。


ただ、庵に近いと思われる峠には、道祖神の石塔があり、輪型の太縄が二本かかっていた。風に揺れるそれは、風鈴の風情があり、カリカリと乾いた音をたてている。



岩陰から、急に白いアオダイショウが顔を出し、一瞬たじろいだ。


赤い目をしたその白蛇は、しばし動きを止めて私を見ていた。


が、チロチロと舌を出し、やがて藪の中に消えて行った。






その時、ふたつのグミが胸板を撫でるような、懐かしい、けして忘れることのできない心地よい感触がよみがえった。



が、おそらく、気のせいだったろう。


茅で編んだ太縄が、またカリカリと乾いた音を鳴らし始めている。




モウセンゴケ
サギーの末裔


     おわり




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参考

サギーとは、かつてインドなどにいた、殺戮集団。 
主に、裕福な旅人などを騙し襲ったりしたという。
極めて深い絆で結ばれ、カリー神という女神を崇拝していた。 


サギー、またはサギスとは、日本語でも似た音の『詐欺師』のこと。


なお、安達ヶ原には、迷った旅人を食らう鬼女伝説があり、浄瑠璃『奥州安達原』は、よく知られている。




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ああ、どうも慣れないことをすると疲れますわい。


今でも、赤ちゃんはキスするとできるもんだ、と信じて疑わぬ私には、今回の小説は、いささか疲れました。


実はこの小説、『美研インターナショナル』という会社が、ほとんどただのような金額で、数十部ほどテスト出版(ISBNのつかない出版物で、当然、国会図書館にも納品されていない)してくれた作品を手直ししたものだ。

著作権他、私にあると確かめ記事にしました。

実は、このテスト出版(もう世に出回っていないし、私も一冊あるのみ。それも今見当たらない!)の際に、著名なジャーナリストの方が『生々しい』という評価を含む、嬉しいあとがきを、無償で書いてくださった短編集のひとつです。


次回は、少し趣を変えて、しっとりとしたものか、ほっとするものに挑戦して参ります。
ただ、結構気まぐれですので、ブログネタを記事にしたり、ぼやき節歌ったりと、次回がいつから始まるかは、分かりません。


まあ、しま爺のこと少しでも知っている方には、『ああ、またか。分かってますがな』という声も聞こえてきそうな。


なお、勘違いなさっている方がいるようですので、一言言わせてください。


私は、小説家でもなければ、自由業でもありません。
しがない、ぼやきサラリーマンです。

ただ、幸いなことに、苦しみ、恐怖を含め、いろいろな体験はさせていただきましたし、ある意味では、今も経済的な苦痛(とはいえ携帯使ってるくらいですから、まだまだ本物じゃありませんが)を含め、新たな経験をさせてもらっています。


今でこそ、こうやってずいぶん物分かりのいい爺さんやってますが、海外では、人の良さだけでは生きていけない場合もあります。


いや、これは、日本でも残念ながら、同じことが言えるかも知れません。


しかし、それでもまだ、やっぱり日本はいい国です。

これからしばらくの間、日本を含め世界は急激に沈降する一方で、経済格差がひろがる様相を見せてきています。



製造業の崩壊、海外進出の自粛、サービス業のガリバー化の裏で泣く者、笑う者。円高差益で潰れる会社、濡れ手で粟の会社。休みなく働いても三食にありつけぬ人、コンピュータのボタン押すだけで億単位を動かす青年。



日本は今、大きな転換期を迎えているのでしょうか。
世界の歴史上、まだどこの国も体験したことのない、超高齢化社会が、今目の前に迫ってきています。


どんなに国連に金を出しても、政治は三流国以下の扱いを受けている日本。


しかし、この近々訪れる超高齢化社会は、多くの国の密かな注目を浴びていることでしょう。



頑張れ、日本。


スポーツの世界だけでなく、政治・経済の世界でも、掛け声だけに終わらないことを、願わずにはいられません。




すいません。

いつものクセで、相当話が飛んじゃいましたね。 




   では、おやすみなさい。