[連載]モウセンゴケ---サギーの末裔 第4話R15指定 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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私は息を飲んだ。

長い冬を越し、ゴミをかき集めザラメとなった雪よりも、はるかに白く、きめ細やかな大腿がさらけ出されたのだ。

しかも、下着を着けていない。

申し訳程度に生えた、若草のような恥毛を、生まれて初めて見た私は、動転を通り越し、その微妙な起伏と渓谷をもつ、息付くような丘に、目が釘付けになった。


そんな私の存在など気にかけぬように、少女は傍らにあるヤブレガサの葉をもぎ取り、しごいてから膝頭に付けた。



右膝は赤紫に変色し、血がにじみ出ている。左の内腿には、何かが刺さったような跡があり、赤い液体がゆっくりと、若草の萌える谷の方へと伝わり流れていた。

少女は、またヤブレガサの葉を揉みしごき、その汁を左内腿の刺し傷に擦り込み、しばらくの間、そこを押さえつけていた。


その間、私は、まるで映画のワンシーンでも見るような面持ちで、じっと不安げにその仕草を見ているだけであった。










いや、この年になって嘘をついても仕方がない。


本当のことを言おう。


私は、そんなケガをした少女を前にしても、まだ、その優麗な曲線と渓谷の呪縛から抜け出せないでいたのである。


「こんな時に、何を考えているんだ」


と、頭ではわかっていても、私の目はいつの間にか、またその丘へ注がれていた。



さらに、あろうことか、少女を組み伏せ、木の葉に覆われた、二つの薄桃色の蕾を持つであろう山を征服する。



そんな妄想さえ、抱いていたことを告白しよう。




      つづく