蜃気楼 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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今の若い人たちは知らないだろうが、今から20年くらい前、昭和の終わり頃に、バブル景気と呼ばれる時期があった。


“noh-kyoh農協”という言葉が国際語となり、その少し前までは、田んぼて草むしりしていた、じいちゃん、ばあちゃん、あんちゃんが、海外旅行へと繰り出し、一気に成金が誕生した時代だ。


極東の猿呼ばわりされていたのを忘れ、『Japan as No.1』とか、『21世紀は日本の世紀だ』などという言葉に踊らされた。

世界中の名画を買いあさり、中には、手に入れたら自分と一緒に、墓の中へ持って行こうと考える人まで現れる。

さらには、あろうことか、“アメリカ合衆国の心”と言っても過言ではない、エンパイアー・ステート・ビルディングにまで手をだす。


一部のバブル崩壊を見越していた人たちには、蜃気楼を追うものにしか見えなかったはずだ。


ところで、この時代にもうひとつの、神仙の国に似た蜃気楼があった。

それは、『中流階級』意識というものだ。確か、国民の八割くらいが中流家庭という意識を持っている、というアンケート集計を見た覚えがある。

経済用語とかにはさっぱりだし、あまり言葉じりをとらえても仕方ないが、日本には、中流階級の人など、ほとんどいない。

そんなものがあるのは、イギリスやインドのように、いまだに身分制度や、それに近いものが存在する国か、今、騒然としているタイのような、日本とは比較にならない学歴社会、信じられぬほどの貧富の差があるような国だろう。

本来、中流とは仕事などしなくとも、十分に経済的に成り立つ場合に用いられるのではないだろうか。

そんな人は、日本には、ほとんどいない。

海外における、博愛とか慈善、あるいは紳士、淑女という言葉も、こうした基盤から生まれたに相違ない。

だから、金持ちとは、年収○億円以上とかいうのではなく、金のことに関心がない、そういう人が、金持ちだと思う。



ところで、今タイは大変な状況になっているようだ。

反政府派のリーダーとされるチャムロン氏は、客観的に見ると、生臭坊主真っ青な、大変質素な生活を送る人物だ。 
それだけに最下層の人たちには、人気がある。
一方、利権を無くされてしまいそうな上流階級、経済的な恩恵に預かっている人たちには、悪霊だろう。
日本では賄賂にあたるものが、場合によっては美談となる。
豊かな男が複数の愛人を持っても、ある観点からすると、褒められるべきことだ。

こんなことを言うと、男尊女卑とか、人身なにがしと非難を浴びるだろう。
しかし、そういう方は視察とか、団体観光とかではなく、東南アジアの山岳部にでも行ってみるがいい(そこまで、生きてたどり着ければの話だが)。
ずいぶん昔の話だが、チェンマイ北方にあるメオ族の村を訪ねたことがある。
私と友人二人を乗せた、タクシーという名のトラック荷台には、三人の武装兵士がガードしないと行くことができなかった。


本当に日本って平和だ、と実感した出来事だった。

文化人の方の中には、仕事を与えようとか、田畑を耕そうなどと言う方がいる。

しかし、例えば、盗みが悪いこと、という認識がない場合、どうしたら工場の部品を持っていってはいけないと伝えるのだろう。

ヒエさえ生えぬ岩肌に、何を植えろと言うのだろう。
ある国では、日本円換算で、さらに日本の相場にあわせて、年収100万円でも貧困ではない。
同時に、年収1億でも、全く金持ちではないだろう。

日本ほど貧富の差が少ない国は、シンガポールのような少人数の国をのぞけば、ほとんど思いあたらない。


私は今、日本に生まれ育って、本当によかったと、改めて思っている。

ブログの友が、心の支えとなっていた人を亡くし、悲しみの中にあれば、私も悲しくなり、なんとか励ましの言葉を送ろうと考える。

言葉にだせぬ恋心に、潰れてしまいそうな人や、自分の取り返しのつかぬ失敗にうなだれている人があれば、しがない自分の経験を語ってみる。

幸せに喜び溢れる人があれば、自分まで温かくなる。

そんな、日本なら当たり前のことが、当たり前にできることに、感謝している。

が、一方で、素晴らしいこの国が、歪み変質して行きそうな予感に、多大な憤りも感じてしまう、この頃だ。






さて、タイのクーデターは、4日ごろには、解決するはずだ。

おそらく死を覚悟し、また、仮にクーデターが成功しても、いつの間にか元の木阿弥になってしまうこともわかって、チャムロン氏は、今回の行動にでたのだろう。
しかし、ちゃんと日にちの計算はしているはずだ。

5日を越えても、人民を嵐の中に置くことは、彼が最も敬愛する、国王を悲しませることになる。

軍隊もその辺は、あうん の呼吸で手荒なことをしないばかりか、政府側層の攻撃から守ってさえ見えかねない。

あと、4日以内。

そこで情勢が好転するはずだ。





話が飛んでしまった。


日本には、世界レベルで見れば、ほとんど貧困な人はおらず、また、たいした金持ちもいない。


社長の年収が、新入社員の100倍以上の会社が、ほとんどないような国には、金持ちも貧乏も、天地がひっくり返るほどの差などない。