
ミカンの皮をむくかって?
ええ、普通は皮をむくんじゃないかなあ。
私は、まだ、ミカンを皮ごと食べてしまう人は、見たことないですねえ。
いや、いや。
うちの上の方のチビが、まだヨチヨチ歩きだった頃、皮ごとガフリ、
フェーン
フェーン
なんていうことはありました。
私は、大笑いしてしまったのですが、若かりし我が奥殿は、救急車呼ぶわ、の騒ぎでございました。
考えるに、あの頃から、我が家は貧しかったんですなあ。
でも、その頃はまだ、北風にカーテンが揺れることはあっても、
のざらし紀行を著すほどには、障子の破れも大きくはなかった気がします。
さて、話を戻しましょう。
キンカンなど、小粒のミカン類を除けば、大多数の方は皮を剥いて食べるでしょう。
しかし、ミカンの皮に付いている、細い紐のような白いヤツ。
これを取る、取らないは、大きく分かれるような気がします。
もちろん、イノシンとかくれんぼし、ヤギとかけっこ比べをして育った私は、若い頃、初めてのデートかなにかで、クレオパトラより、0.3mmほど鼻の高さが至らない女の子の前で、イライラしながら、ごっつい指で慣れぬ作業をした以外、まずは、ガフリと口に運んでしまいます。
そもそも、今でも何故、そんなことをするのか、心情的にはわかる気もしますが、理論的にはわかりません。
最近、日本人の繊維摂取不足がささやかれ、フィブリン飲料だの、セルロース入り食材だのが話題になっています。
確かに、日本人の繊維摂取量は、かつてに比べ極端に減り、反比例して動物性たんぱく質の摂取量は、増大している気がします。
日本人には、あまり馴染みのなかった大腸ガンや、前立腺ガンの増加というのも、おそらく深い関係があると思われます。
ミカンの白い紐は、わずかとはいえ、やはり重要な繊維性の食べ物です。
さらに、自然のものには、科学分析レベルにはない、微量重要物質があるはずです。
おそらく、あの白い紐の中には、アラビノガラクタンなどの植物の生長だけでなく、動物の成長にも関与する、“その他”物質があるはずです。
ただ、まだ一般には知られていないだけでしょう。
先日、たいへん不幸にも、また、たいへん不合理にも、販売停止となったこんにゃく系食品の主成分、マンナンの効用に関しては、少なくとも35年前には、注目されていたはずです。
ミカンの白い紐を取る方は多いでしょう。
しかし、邪魔そうに見えるもの、
いささか美観をそこねるものの中にこそ、真に必要なものがあることが多いものだ。
それが、最近の私の思うところです。