
北海道や東北地方では、もう遅いが、関東以西の暖かい地方なら、まだ写真のような赤紫の実をびっしりと付けた、せいぜい背丈ぐらいの木を、目にすることができるだろう。
この木には、あまり知られていない秘密がある。
かつて、密教の法師や山師と呼ばれた人たちは、山菜採りに見せかけ、この木を血眼になって探した。
なぜか?
その答えは、PCや携帯電話にも使われている、人類がもっとも愛した金属にある。
さあ、ここで、私の友人である、イグナシオ・マイニング&メタルズ・ココーレ・ワンカンパニーの社長である、ポロロッカ・ブフウ氏の、友人のよく通うシシカバブ料理店の店長の隣人が、時々顔を出すビアホールで皿洗いをしている、地質学を専攻していた、就職待ち大学生の、カピパラ氏の話を聞いてみよう。
ムラサキシキブというのはですね。現在、鉱物関連会社が使っている貴金属探知機と同等のすごいヤツなんだそうですよ。
なんでも、この木が生えている土や岩には、通常の数百倍から数千倍のAu、つまり金が含有されていることが多いそうです。
どうも、根の細胞構造とも関係があるそうです。
生物の難しい話はわかりませんが、あの赤紫の実の色も金に関係があるそうです。
三つ橋金属が、下北半島半島で発見した、世界屈指の金含有率のある鉱脈がありますが、その裏には、どうもこのムラサキシキブが絡んでいると聞いたことがあります。
カピパラ氏の言うことを、半信半疑で聞いているあなた。
これは、本当の話ですぞ。
私もケミカル・アブストラクト・ゴーホックで、ムラサキシキブと金鉱脈の相関を述べた論文を読んだことがある。
また、興味ある方は、バチカンの地下金庫にある、有名な死海文書No.1919か、No.1888を見たらいい。
または、グァテマラ、ポポル・ヴフのヒカロの泉にあるキチェ王立博物館、館長室の壁に作られたメビウス金庫を覗いてもよい。
私の言っていることが、けして嘘でも誇張でもないことがわかるはずである。
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追記
これは、来週あたりから連載予定『平泉のアーク』のプロローグのようなものである。
話は、東北藤原家に関する短編だが、ムラサキシキブが重要な役割をする。
都会の公園では難しいかもしれないが、民家や日当たりの良い野山では、比較的よく見られます。
時間があったら、目を皿にしてあたりを見てください。
多分見つかりますよ。
ただし、人の家の周りであまりキョロキョロすると、職務質問を受けるかも。
それに関しては、責任は持てませんよ。