
『ドラえもん』や『サザエさん』が何故多くの年代に愛され、長寿番組であり続けるのか。
その理由のひとつに、ほとんどの人の日常と重ねることができるストーリー性を挙げられるのではないだろうか。
ジャイアンは、小学生レベルなら、暴れん坊でわがまま、女の子のスカート捲りなんぞをする輩だ。社会人レベルなら、グイグイ、ブリブリ仕事を押し付ける親会社の課長レベル、そして、生活の場ならひどく自分勝手なことばかりする隣人や少し離れた親戚筋あたりではないだろうか。
一方、スネオは、ジャイアンの紐的存在で、虎の威を借る狐の役どころだ。
子どもの世界なら、マンガそのまま、強いボスの太鼓持ちである。
会社なら、上からは締め付けられ、下からは突き上げをくわされる中間管理職あたりだろうか。
ただ、両者とも本物の悪人ではなく描かれているところが、こうしたマンガが愛され続ける所以だろう。
常に威張っているジャイアンも、母親の前ではクシュンとしたり甘えたり、スネオにしても、へんに正義感が強くなってみたりと、私たちの周りで起こっていることとオーバーラップするのだ。
どちらにしても、市井の善人なのである。
マンガでは、ジャイアンとスネオという役どころの二人は、実は万人の代表でもあるわけだ。
同時に二人は、同じ人物の別の顔でもある。
この二人は一心同体、かつ二人万役をこなしている。
二人を切り離すことも、選択することも、私には難しい。