
これは困った。
わが愛車BMWは、3年ほど前に定年退職、新車どころか中古車さえ買えない。
さらに、私の体調がすこぶる悪くなったから、今、車がないのである。
ということで、残念ながらドライブと洒落込む(歴史学的表現か?)わけにはいかないのだ。
だいたいにして、私は運転が下手である。
若い頃、フランス新工場の落成式に訪れた本社役員を乗せスイス入りした時は、左側通行(あちらでは車は右側通行)し、危うく大事故になりそうになったこともある。
そんな現実があるが、
もし、
可能ならば、
フランス東部、ジュラ山脈に沿って伸びる山道を、もう一度走ってみたい。
ジュラ山脈は、標高2000mにも満たないようななだらかな山々の連なりだ。
しかし、緯度は稚内より高い(北)から、1500mをこえるあたりから、低木も生えない高山植物のお花畑が一面に広がる。
日本では岩手・早池峰山や北海道・礼文島などにしか見られない、エーデルワイス(ウスユキソウの仲間、春の七草ハハコグサの親類のようなもの)や、クロッカス、スズランなどが咲き乱れる世界だ。
天気の良い夏なら、気温20度以下というのに、ほとんど生まれたままの姿で日光浴する、胸が膨らみサングラスをかけた白ウサギたちを見かけることも珍しくない。
秋も良い。
山脈の麓の方では、日光イロハ坂、明智平の風景が、延々何十キロメートルも続くのである。
まあ、この夢が実現する可能性は大変低いが、あの山道をもう一度、
できれば心休まる方を乗せて、のんびり走ってみたいものだ。