
つい、最近の話だ。
かつて、私がたいへんな迷惑をかけ、また、いろいろな意味でお世話になった方からメールが届いた。
そこには、わずか五つの文字が打たれていただけである。
あ り が と う
私には、未だに
その意味がよく理解できない。
というのは、お世話になり、また、数々の迷惑をかけ、無用の心配をかけさせたのは、私の方だからである。
感謝の言葉を投げ掛けるのは、むしろ私の方なのだ。
が、そのわずか五文字が、
冷めた見方をすれば、液晶画面に表示されただけの単なる挨拶でしかない文字が、ひどく有機的な意味を伴って、私の中に入り込んでくる。
おそらく何十年か忘れていた、しんしんと降り積もる雪の中に身を沈めてしまいたくなるような思いが、そのメールの文字を見たとたん、いっとき全身を駆け巡る。
わずか
五文字の言葉。
なんら変哲もない、実にありふれた言葉。
が、
その人からの
それは、
数十年の
空回りに似た
私の思いをも包みこんでくれるような
ここ数年のすさみがちで、
ややもすると虚ろな思いに引き込まれそうな、
そんな、むなしさ、やるせなさを
埋めるには、
十分すぎる
言葉だった。
私も
今こそ 言いたい。
ありがとう