芝神の都瑠香 7 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

しま爺の平成夜話+野草生活日記

世間を少しばかり斜めから見てしまうしま爺さんの短編小説や随筆集などなど
★写真をクリックすると、解像度アップした画像になります。

「わらわの、

このわらわのどこが醜いと言うのじゃ。この体のどこが病んでいると言うのじゃ」




女は羽織っていた薄衣(うすきぬ)を脱ぎ捨て、バシャッ、バシャッと沢水を蹴散らしながら最仁のいる岸へ突き進んでくる。


と、後ろ姿になった最仁の袈裟を、むしりとらんばかりに引っ張った。


女は最仁の手をわしづかみにすると、その手をおのが胸の膨らみに押しあてたのである。



「ほれ、柔らかいであろう。


もそっと触れてもよいのじゃぞ。

いな、



吸うても」



女は自分の発した言葉に自ら酔ってしまったかのように、目が宙をおよぎ、頬に紅が射した。



「色即是空

空即是色」


最仁は一瞬こわばった表情をみせたが、すぐに平成に戻り、また、同じ言葉を繰り返す。



「色 即 是 空
空 即 是 色」