第三次世界大戦 5 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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調べれば調べる程、いよいよもって日本の素晴らしさがわかってきたところまでじゃたな。

もっと詳しく言うとな、お前さんたち若いもんも聞いたことがあるじゃろ。

日本人は、『水と安全はただ』と感じているくらい、信じられぬ豊かの中で生活しておることよ。

最近でこそ、ミネラルウォーターとか言う水の詰めものを売っちょるが、日本は飲み水にこと欠くことが無い、と言ってもいいくらいの自然の中で暮らしておるんじゃよ。ただ、ほとんどのもんは、その素晴らしさをわかっとらんがの。

何?

ほう、若いのも少しは知っとるようじゃの。

ふむ、確かに空海、弘法大師が杖を叩いて井戸や温泉を見つけたという話は、日本も水に苦労していた証(あかし)じゃわな。

でも、いいか、若いの。
日本人が水で苦労するのと、砂漠や高地、あるいは常夏の国に生活する人たちが飲み水に苦労するのとじゃラベルが違うんじゃ。

へっ?
ほう、ラベルじゃのうてレベルってか。
まあ、とにかく苦労具合が比べ物にならんちゅうこったよ。

ええか、見渡す限り赤茶けた岩や黄色い砂ばかり、一日歩いても、草木一本見られないところが日本にあるかいな。
バケツ一杯の水を得るのに、険しい山を登り下りし、半日かける日本人はおるかいな。

常夏の国は、毎日の夕立で水自体はふんだんにある。でもな、その水は、とてもそのまま飲めるものじゃないんじゃわ。ろ過して煮沸したもんじゃないと腹をこわす。いや、命取りにさえなる。常夏の国の人たちの平均寿命が短いのは、統計の仕方にもよるんじゃが、水で命を落とす子どもたちが多いこともあるんじゃ。

山登りし、ひんやりした沢の水で喉を潤す、この何でもないと思っていることが、奇跡に近いことを自覚しとらんのよ。

とにかく、常夏の国々をはじめ、世界の多くの人々にとっては、飲み水を得ることは、一日のうちで苦労とともにある最も大切な仕事のひとつなんじゃよ。


日本人は水の色といえば、透明、水色と相場が決まっておるが、およそ常夏の国々じゃ、黄色か茶色だからの。


それとな、飛行機が空を飛び回り、コンピュータの支配する今でさえ、おそらく世界中の半分以上の人たちは、海というものを見ることなく一生を終えていくことも知っておいたほうが良いぞ。


いやいや、海はおろか山や川というものを知らずに生涯をまっとうするもんも少なくないじゃろうな。日本人のほとんどが、砂漠や見渡す限りの平原を知らぬのと同じにな。