「なぜ女が見てはいけないのだろう。父は言っていた。ジャガー神が昼に現れるのではない。本当は月が太陽を覆い隠すのだ。すべては、天の運行から決まっていることなのだ、と。ならば、それほど恐れることもあるまい。女、子どもが外にさえ出てはならぬのか。いや、なぜそのものを見てはいけないのだろうか」
イッシャ・ナミは、ついに家から抜け出した。
今まさに暗闇が全天を覆おうとしている。頭上には降ってきそうなほどに星が輝いている。一瞬、あたりが薄桃色に光ったような気がした。太陽を見る。そこに光輝いていたであろう今は黒い太陽から、薄靄に似た真珠色の淡い光が幾筋も放たれているのだ。
「なんて美しいんだろう。どうしてこんな美しいものを見てはいけないんだろう。いや、あまりに美しいから王は見ることをタブーにしたのだろうか」
