禁断の実 4予言通り、十八日後の昼近く、乾いた地を焼いていた太陽が少しずつその光を弱めていった。空が陰り、薄暮の中でケツァールのはぐれ星が光だす。王の掟には例外があった。天文学者と王だけは、この日食を見ることができるのである。いや、むしろ天文学者は、日食を極めて正確に観測する義務があった。イッシャ・ナギは天文台に登り、ケツァールのはぐれ星の位置、太陽を隠す月の大きさ、戦い星と明星の位置関係等を、チャート製のナイフで凝灰岩の石板に写しとっていく。王は黒ヨウ石製の大きな眼鏡をかけ、日食を見守っている。この眼鏡は、神に選ばれた者のみが持つことを許された、オルメカ王の象徴でもあった。