オルメカ王キチューは、聖なる翡翠(ひすい)製の剣を振り上げた。
赤い飛沫がピラミッドの下にいる民衆たちに降っていく。
王は血の滴る剣を太陽にかざして言った。
「あと十八日の後、真昼にジャガー神が現れるであろう。星がまばたき、フクロウが鳴きだす。その間、女・子どもは外に出てはならぬ。男も、じかにその姿を見てはならぬ。狩りの最中にジャガー神が訪れたなら、早起き鳥が鳴くまで頭を地につけ動いてはならぬ。遠方よりここに集った村長たちよ。村に帰ったなら皆に伝えるがよい。この掟を破れば、破りし者ならず、このオルメカの国にも災いが訪れるであろう」
王はそう言うと、まだ血の滴る生け贄の首をドクロの木に向かって投げ捨てた。

