禁断の実 3 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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祭りのときがきた。七十八段あるピラミッドの頂上に、悪魔の星の下に生まれ、悪魔の星が天に留まったときに子を授かった男が引き上げられた。男は何日もの間マッシュルームだけを食わされており、恐怖の色一つ見せない。いや、むしろ歓喜に宙を泳いでいるかのような目さえしている。
オルメカ王キチューは、聖なる翡翠(ひすい)製の剣を振り上げた。
赤い飛沫がピラミッドの下にいる民衆たちに降っていく。
王は血の滴る剣を太陽にかざして言った。
「あと十八日の後、真昼にジャガー神が現れるであろう。星がまばたき、フクロウが鳴きだす。その間、女・子どもは外に出てはならぬ。男も、じかにその姿を見てはならぬ。狩りの最中にジャガー神が訪れたなら、早起き鳥が鳴くまで頭を地につけ動いてはならぬ。遠方よりここに集った村長たちよ。村に帰ったなら皆に伝えるがよい。この掟を破れば、破りし者ならず、このオルメカの国にも災いが訪れるであろう」
王はそう言うと、まだ血の滴る生け贄の首をドクロの木に向かって投げ捨てた。