禁断の実 2 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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この村にイッシャ・ナミという少女が住んでいた。少女は普通の女たちのように、トウモロコシを臼で挽いたり、カカオジュースを作ったりすることはほとんどしなかった。男に混じって球技にふけり、時には狩りに出かけることさえあったのである。
イッシャ・ナミは、村長(むらおさ)であると同時に天文学者でもあるイッシャ・ナギの子として生まれた。九の月の十三日、戦いの赤い星が明けの明星と重なり合う時に生まれた娘を、村人のみならずオルメカ中の者が現人神(あらひとがみ)と、崇めている。しかし、イッシャ・ナギは娘の将来に、何か不吉なものを感じていた。
「生まれる星が間違っていたのではなかろうか」
イッシャ・ナギは、戦い星が逆行を始めたのを確かめながらつぶやいた。