不正競争防止法2条1項1号の裁判例をよむ

個人的興味からのランダムピックアップ裁判例 その80

 本日は、使用許諾関係にあった当事者の紛争事例を見ていきます。

 本裁判例は、LEX/DB(文献番号27486137)より引用。形式的な修正追加あり(「」等で明示ない箇所もあります)。

また、本件は、データベースに記載された情報が少なかったため、〔知的財産権判決速報(発明推進協会)〕も引用しています。

 

  東京地判昭58・8・31〔ボルト・サーフ事件〕昭54(ワ)12676

原告 ザ・ボルト・コーポレーション
破産者 株式会社ボルト・サーフ破産管財人
被告 原生

 

■事案の概要等 

 本件は「ボルト・サーフの設立者となったK」が、「昭和47年ハワイでサーファーとして活躍していたロペス」から、「BOLT商標を付したサーフボード等を輸入販売し」、「その後商品範囲を拡げ、一部を自ら製造するに至り、ロペス等プロサーファーを日本に招待しデモンストレーションやサイン会を催し、右商標の宣伝をした」事案で、「昭和50年Kはロペスが実質上の経営者であった原告の前身との間でLIGHTNING BOLTの商標専用使用許諾契約を締結し」、「自己がわが国でのBOLT商標の唯一の使用権者であり、その販売にかかるBOLT商標を付した商品がロペスに由来する正当商品であるとして宣伝」しました。

 「昭和51年Kが設立したボルト・サーフは、当時BOLT商標の譲渡を受けていた原告からBOLT商標の使用許諾を得、原告商品の日本総代理店の表示の下に宣伝販売活動を行い昭和52年当時わが国においてBOLT商標が原告の商標として広く認識されるに至」りました。

 「原告は、昭和52年上記契約が終了した後にBOLT商標を使用するボルト・サーフの行為は原告の商品と出所の混同を生じ、原告の営業上の利益を害するおそれがある」と主張しました。   

 

■当裁判所の判断

 ボルト・サーフは「BOLT商標は自己の商品表示として周知になったものでK自身のものと思っていた旨主張したが、前記各契約はBOLT商標が原告側に属することを明認した上でなされていることが認められるとしてその主張は排斥され」、裁判所は「本件口頭弁論終結時においてボルト・サーフ社に対する破産手続が今後いかなる推移をたどるのかは明らかでないので、ボルト・サーフ社がその事業を再開することがないとは断言できず、このことと前記の事実によれば、ボルト・サーフ社が別紙目録(二)記載の商品及びその宣伝用パンフレット、広告に本件各商標を付して、これを販売拡布し、原告の商品と混同を生ぜしめ、これによつて原告の営業上の利益が害させるおそれはなお存在するものといわなければならない」とし、原告の不正競争防止法に基づく請求は理由がある」と判断しました。

 

■BLM感想等 

 このところ、商標・その他の表示の使用許諾を受けた者と、周知表示主体(グループ含む)との関係解消事例をみていますが、どんなに、使用許諾権者が当該表示を使用した商品の販売等をがんばって、周知性に貢献しても、それだけでは表示主体となれず、グループの中核的存在として表示主体の一員となったとしても、主従の関係がある場合にその主となる者との契約が終了し関係解消すれば、もはや赤の他人、商標権を有していても同様、ということになる、というのが共通してみられる傾向であるように思います。関係解消しても表示主体の一員から離脱しないという強固な存在というのは、どのような者か、むしろ、気になります。もう少し事例にあたり、検討してみたいと思います。

 

By BLM

 

 

 

 

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