商標では地域団体商標制度を用いて地方活性化を支えていますが、特許では特に地域用の制度はありません。
しかし、地方名産品について新たな価値を創り出し、その価値を下支えする技術に特許があったりします。
例えば、沖縄県。
いろいろ名産品はありますが、黒糖もその1つでしょう。
この黒糖の「新食感」について、特許がありました。
◆どんな特許か?
発明の名称を『気泡含有黒糖およびその製造方法』とする特許(特許6480671号)で、特許権者は沖縄県です。
上記特許の特許公報から、請求項を引用します。
『【請求項1】
サトウキビ搾汁液を加熱濃縮して得られ、翼径75mmタービンタイプの撹拌羽根2枚を取り付けた攪拌機で、1分間あたり300回転の回転数で150gの黒糖原料を撹拌した時に、撹拌羽根にかかるトルクが0.1kgf・cm以上~ 0.6kgf・cm以下であるペースト状の黒糖原料を、減圧脱気しながら固化させることを特徴とする気泡含有黒糖の製造方法。
【請求項2】
減圧脱気を、型内で加圧下に行うものである請求項1記載の気泡含有黒糖の製造方法。
【請求項3 】
減圧脱気の前に、黒糖原料に気体を含ませたものである請求項1または2記載の気泡含有黒糖の製造方法。
【請求項4】
減圧脱気中に、黒糖原料を撹拌するものである請求項1~3の何れかに記載の気泡含有黒糖の製造方法。
【請求項5】
固化後に、更に粉状に粉砕するものである請求項1~4の何れかに記載の気泡含有黒糖の製造方法。』
製法特許になっています。細かな数値限定があるので権利範囲的には少々狭くなっているかもしれませんが、実際に気泡入り黒糖を造る製造条件として必須で代替性のない条件であればそれほど狭くなってはいないかもしれません。
そして、発明のポイントは『減圧脱気しながら固化させる』点にあると思われます。減圧脱気させているので、黒糖はポコポコと膨張して内部に空孔ができ、その状態で固化させることで気泡入り黒糖が製造されるということだと思います。
上記特許の特許公報の段落[0012]にも『多数の気泡を含むため、従来の黒糖よりも密度が小さく、軽い食感を有し、口溶けも良いものである。』と記載されています。おいしそうですね!
◆雑感
各地には様々な名産品があると思います。
名産品の長く変わらない味、食感を続けていく一方で、新たな味や食感等を新たな価値として創り出して提供し、それが多くの人の共感を得れば、新たな品が新たな名産品になっていくと考えられます。
伝統と革新、両立できるシーンがありそうですね。
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