イギリスから購入した「ロイヤルクラウンダービー」というブランドのティーカップ&ソーサー デュオです。

 1930年代に製造されたらしいものですが、カラフルな花々の発色もよく、白磁のカップとソーサーがあたる音の響きが良く、紅茶が美味しく飲めそうです。

 

 下記は、各カップの背面写真。手書きなので柄が違います。

 後日談ですが左のカップに、微かなひびと、かけ、がえーん。只今、金継ぎを試みてみようと、良さそうな業者を探し中にやりサーチ 何事も経験ニコひらめき電球

 

 

 BLMは、アンティークやビンテージ品に関して全くの素人なんですが、1930年代に既にこんなしっかりしたティーカップが流通してたんですね。

 

 上記カップは、made in Englandで、1930年代当時、イギリスで流通していたものと思いますが、こういう当時の商品の流通に、時代を超えて触れるとき、BLMが、どうしても気になるアメリカで書かれた論文があります。

 Frank I. Schechterさんという人が書いた「The Rational Basis of Trademark Protection」(40 Harv. L. Rev. 813 )(以下、Schechter論文という。)なんですが、法分野から商標の社会的な機能に関して、1927年に書かれた論文なんです。

 BLMとしては、当時の社会に想像力が働かず、なんでこんな内容を、こんな昔に書けたんだろううーんはてなマークと思っていました。

 

 例えば、Schechter論文は「商標は、単に重要なビジネス上のグッドウィルの目に見える表明であり、グッドウィルが侵害に対して保護される「財産」であるとか(merely the visible manifestation of the more important business goodwill, which is the ‘property’ to be protected against invasion)、グッドウィルが本質的で、商標は単に影であるとか言うことは(the good will is the substance, the trademark merely the shadow)、今日の商標の機能を正確に述べておらず、その適切な保護の問題を覆い隠す」(Schechter  818頁)と指摘します。

 

 そして、同論文は、「商標」は「グッドウィルの創造のための最も効果ある仲介人」であり、「満足の保証を刻印」し、さらなる「満足への欲望を創造する」という「販売力(selling power)」に焦点をあて、それが特に商標の「識別力」に由来し、「その識別力が強ければ強いほど販売力は効果的になる(the more distinctive the mark, the more effective is its selling power)」(Schechter  819頁)と述べています。

 

 もっとも、BLMとしては、かかる「販売力(selling power)」は、一方的に売りつけるという意味ではなく、事業者と需要者との好ましい関係性を構築していくという意味に解することが、Schechter論文を、より意義あるものとして現代に蘇らせるように思います。

 実際、同論文でも「顧客の創造と維持(the creation and retention of custom)が、出所の明示よりもむしろ、今日の取引上の第一の目的」である(Schechter  822頁)と述べています。

(ここまで太字・着色:BLM)

 

 かかる顧客の創造と維持とは、まさに、現代認識されている“マーケティング”のことをいうのではないか?と思うのですが、1927年という時代に、既に、そういう発想があったとは驚きだったのです。しかし、冒頭で触れた、カップのバックスタンプ(ブランド名)が付された美しい商品、人々に購買意欲を刺激するようなカップを見るに、ああ、既にこの時代の人々は、今ほどではないにしろ、消費社会を生きていたのだなぁと思います。

 

 ちなみに、お恥ずかしながら、BLMの2008年の修士論文では、Schechter論文を扱っていますが、基本的には、商標の機能を考えたものでした。以下のように述べています。

 

 「自他商品識別機能(以下単に「識別機能」という。)は、一般に、商標の本質的又は基本的機能であり、「個性化された一群の商品を他の商品群から識別する機能であり、商品の同一性を表示する機能である」との見解が有力である。」「ここで「同一性を表示する」ことは「単に「他の商品群から識別する」のみならず、「同一性を表示する」という点をも識別機能として認識する」ことが重要である。すなわち「商標の識別機能に関して、とかく競合者との関係において「他の商品群から識別する」ことが最も重要な課題であるとされがちな認識を、需要者の潜在又は顕在ニーズを満たすような商品を提供し、需要者との好ましい関係を形成していくことがむしろ重要な課題であることへ再認識させるものと考える。」

 「識別される対象は、実際の市場においては、商品及び商品に使用される技術、原材料、品質等又は製造販売元たる事業者その他その商品の強みとなるモノ全てが考えられ、これらの一定の要素から需要者が関心を抱くだろう対象を、事業者との関係において上手く表示させ、その対象の同一性を一貫して表示できる機能を有する商標が、結果として「他の商品群から識別」させ、差別化させることができる。」


  思うに、上述のSchechter論文における、商標は「満足への欲望を創造する」という「販売力(selling power)」に焦点をあて、それが特に商標の「識別力」に由来するといった見解(Schechter  819頁)における“識別力” とは、BLMが考える、第一義的な識別機能の発揮、すなわち「同一性を表示する」という機能が発揮されることで強められるもになのではないかと、今改めて思います。

 

 Schechter論文は、とかく米国の希釈化規制と絡めて論じられることが多いのですが、私見では、希釈化規制を強化させた学者、実務家はもっとの後の人なのではないかと考えています。希釈化規制と切り離して、のSchechter論文を今一度読み直しても良いように思っています。

 

by BLM

 

 

 

 

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