またまた、紅茶ネタから始まって恐縮ですが、昨日、Cha Tea 紅茶教室で『グレード(等級)を極める』というテーマで勉強してきました。紅茶は、茶葉や食器のブランドだけでなく、産業革命、植民地主義、広告表現の発展、商品流通の国際化…等々、いろいろな切り口で、知的財産分野からでも興味深く研究できる分野だと思います。

 

今日のティーカップは、ヘレンドの「ヴィクトリア」でしたニココーヒー

 

 今日のお教室テーマは、“地域ブランド” という観点から興味深かったのですが、商標法の地域団体商標として登録できるのか? 地理的表示保護制度で保護されるのか?、不正競争防止法上の原産地等誤認惹起行為として規制されるのか? といった法律等の規制制度に当てはめて保護範囲・対象を画するだけでは理解できない深い世界が広がっている、と思いました。

 結局、紅茶ブランド、特に、各地域に由来する特徴を売りにする地域ブランドの場合、最終消費者に届くまでの各工程等に関わる “人” の問題が最も重要になるなのだと思いました。

 特許法や著作権法では、創作をした人(発明者、著作者等)は何らかの方法で保護されますよね?標識法では、いわばマーケティングコンセプトを考え実行した事業者もなんらかの方法で保護されると言えなくもない。地域ブランドでは、その地域の職人さんに、いわば、額に汗(sweatof the brow) の理論を認め、実情に即して尊重される制度が必要な気がします。

 

紅茶の製法

 今日のお教室では、紅茶の製造方法のおさらいから始まりました。当日のを引用するのは憚られるので、市販されているCha Tea 紅茶教室著「図説紅茶ー世界のティタイム」(河出書房新社、2017)から引用してみます。(『』内引用)

 『紅茶の伝統的製法として、オーソドックス製法があり』、工程は、『①摘菜』(てきさい)、『②萎凋』(いちょう)、『③揉捻』(じゅうねん)、『④玉解き・古い分け』、『⑤酸化発酵』、『⑥乾燥』、『⑦等級区分』があるそうです。そして、上記『①摘菜』(てきさい)は、『一芯二葉で摘むことが基本とな』り、『芯芽や若葉を手で摘み取ります』とのことです。(図説紅茶35-36頁) 近年、この茶摘み等に必要な熟練者の人手不足が深刻化しているようです。「次世代が育っていない」とのことでした(教室談話)。

 この“一芯二葉で摘むこと”が茶葉の等級に関わります。と言っても等級の高低が、品質の良し悪しを決める訳ではないようです。


紅茶の産地ブランド

 今日のお教室では、キャンディ(スリランカ)という紅茶の産地ブランドがずらりと並べられました。スリランカの紅茶ですが、それだけでは“ブランド”とは言い難いように思います。

 一方、「キャンディ」は、スリランカの地域の名称ですが、紅茶の分野では、「キャンディ」といえば、〇〇という水色で、〇〇の香り、〇〇の味が特徴、と紅茶業界では、認知されているようなので、地域ブランド(又は産地ブランド)と言えそうです。さらに、〇〇茶園ごとに、特色が出るようで、各茶園の名称もブランドと言えそうです。

 

紅茶の等級

 今日並べられた「キャンディ」は等級が全て異なります。こんなに等級が並ぶには初めて見ました。圧巻でしたキラキラビックリマーク 上記Cha Tea 紅茶教室著「図説紅茶ー世界のティタイム」(36-37頁)では、『酸化発酵の工程が終了すると茶葉は「乾燥」の工程に移り』、『酸化酵素の働きを止め』、『ここでできあがった茶葉は荒茶と呼ばれ、このあとサイズや形を整え、仕上げ茶にします』と説明されています。ここからが、『混入物を取り除き、茶の大きさと形状ごとにサイズ別(グレード別)に区分する「等級区分」が行われ』ると説明されています。

 

 等級区分は、葉の大きさや形状等で区分されるようです。教室でお聞きしたBLMのメモ上は、最初は大小又は形状の異なる茶葉が混じっているのを、ふるいにかけていき、大きさ形状ごとに分類されていき、等級というものが付されていくようです。(間違っていたらごめんなさいにやり汗

 いずれにしても、以下のように、茶葉の大きさ、形状等で分類され等級区分が付されます。大きい方から順に並べられた写真が以下です。茶葉の大きさは見にくいですが、Bの文字が出てくる辺りから、ブロークンの名の通り、砕かれた(又はカットされた)ものを言うようで、小さくなっていく感じです。

(撮影承諾済み、Photo by BLM、2020年6月28日)

OP1(オレンジ・ペコー・ワン)、OP(オレンジ・ペコー)、PEKOE1(ペコー・ワン)

 

PEKOE(ペコー)、FBOP(フラワリー・ブロークン・オレンジ・ペコー)、BOP1(ブロークン・オレンジ・ペコー・ワン)

 

BOP(ブロークン・オレンジ・ペコー)、BOPSP(ブロークン・オレンジ・ペコー・スペシャル)、BOPFSP(ブロークン・オレンジ・ペコー・ファニングス・スペシャル)

 

 細かいと渋みが増したり、えぐみを感じるようなストレートで飲むと、ちょっと美味しさにかけると感じますが、ミルクを入れた後は、むしろ細かい方が美味しく感じたりしました。

 ですので、これらの茶葉を購入する業者さんが、どのような商品を販売する目的なのか、ターゲット顧客はどのような層か等で、選ぶ茶葉が違ってくるようで、一概にどれが良いとは言えないようです。

 

地域ブランドには二種類ある?!

 等級(グレード)は、BLMのメモ上(間違っていたらごめんなさいにやり汗)、国際的な決まりがなく、産地等によってばらつきがあるようです。ですので、同じスリランカ産でも、キャンディや、例えば、ウバ、ディンブラ、ルフナ、ヌワラエリア……と地域ブランドごとに特色があり、さらに、各地域の中に、各茶園があって、それぞれ特色が出てくるようで、、、そうなってくると、少なくとも、産地の職人と、これを仕入れる専門家との長年の関係性によって、最終消費者に届けられる紅茶商品の良し悪し(単に品質がいいだけでなく、費用対効果を考えたり、目的別の適切な商品)が決まってくるということでしょう。上記Cha Tea 紅茶教室著「図説紅茶ー世界のティタイム」(40-41頁)には『茶園で製造された茶葉は、鑑定(テイスティング)が行われたあと、グレードごとに価格がつけられ、オークション、買い付けへと流通していき』、『一般に流通している紅茶商品の多くはブレンド商品で』、なぜブレンドされるかは『紅茶は農産物であるため』、『異なる品質、価格の紅茶をつねに一定の品質、価格で提供するため』ということのようです。いわば『熟練のブレンダー』によって、企業独自の『商品化されている紅茶』(いわばブランド紅茶?)が出来上がるということでしょうか。

  一方、ブレンドしない『自然が育む一期一会の味わい』を楽しむ『クオリティーシーズン』の紅茶もあります。『その時期ならではの味や香りに優れ』、『その要因は産地によってさまざま』だそうです。BLMのような、末端消費者も購入できます。BLMはこちらが好きです。

  

 以上見ていくと、少なくとも地域ブランドというのは、事業者間取引と、事業者と消費者間取引の二つのフェーズで価値を発揮する、奥深いものであるということが言えそうな気がしました。そして、奥深い地域ブランドに支えられて、紅茶商品ブランドが出来上がるのだな、とおもいました。そしてそしてその奥深さは、結局、人に支えられているのだな、と思いました。

 

By BLM

 

 

 

 

 

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