特許庁が『知財アクセラレーションプログラム IPAS2020』の準備を進めています。知財アクセラレーションプログラム(IPAS)は、スタートアップ企業の成長を、事業面と知財面との双方で支えて加速させるプログラムです。
対象企業の募集は既に終了していますが、専門家の募集は未だ行われています(→詳細はこちら)
経産省のホームページには、スタートアップについて『創業期は、ビジネスの立ち上げに注力するあまり、これら知財を最大限活用し、企業の成長に結びつけるための知財戦略をもたないまま、ビジネスを進めてしまいがちです。』と指摘されています。
スタートアップについてはもちろんそうですが、新たな商品・サービスを検討しているとか、新規ビジネスを考えているというような場合、スタートアップではない企業や個人事業主でも同様のことが言えます。
ただ、「知財戦略を持たず」という点は、ある特性を持つスタートアップやベンチャー企業、中小企業については、最近は結構解消されてきているかもしれません。
◆一歩踏み出す前に知財を含め、全体を考えた上での相談が増えてきた
KOIPの独立当初(いまから9年ほど前)に受けた知財に関する相談と、近年受ける相談とでは明らかに「毛色」が違う点があります。
独立当初のころは、「こういういいアイデアがある」とか「こういった技術がある」という感じで相談が持ち込まれることが多い状況でした。しかし、特許をとったとしても、それをどうビジネスに活かすのかや、そもそもどうして特許をとろうと思ったのか等を質問すると、あまり検討されていない場合が多く見受けられました。
一方、当時もちょこちょこといらっしゃいましたが、近年では明らかに、自分たちのビジネスの構想をしっかり持った上で知財面についてぬけがあるのでどうしたらよいか?という観点からの相談が多くなってきました。
そういった場合、必ずしも知財の相談がメインになるわけではなく、ビジネスシステム(ビジネスモデル+収益システム)の観点から(雑談を交えながら)、どうしたら顧客に喜んでもらえるのか?や、どうしたら従業員にやる気を起こさせることができるのか?等々のアイデアを出し、その上で必要な部分に知財面での手当てをする、ということが多くなってきた印象があります。
つまり、近年では、ビジネス全体をきちんと考えているスタートアップやベンチャー、中小企業は全体の流れの中で知財をどうしたらよいかを考えるようになってきているのではないかと思います。
これも、経産省や特許庁の努力の賜物でしょうか??
◆とはいえ、早めに知財は考えるべき
「スタートアップ」、「ベンチャー」、「中小企業」という言葉を見ると、反射的に、企業規模が小さい、売上や利益が小さい、大企業にいじめられやすい?等々のイメージが湧いてくるかもしれません。
しかし、「スタートアップ」とか「ベンチャー」というとステレオタイプ的になんとなく大企業より下に見られがちですが、ビジネス全体を考え、ビジネスの進め方の組み立てが上手であれば、大企業に引けを取ることはありません。むしろ、小回りが利きやすいので危機に対して機動的に対応でき易い面もあるのではないでしょうか。
とはいえ、ビジネス・事業を進める場合、なるべく初期段階から知財に手当てをするか、少なくとも知財面でリスクはないかについてクリアにしておく必要があります。知財は無体物で目に見えない資産なので、ついうっかり口にしただけですべてが台無しになる可能性もあります。しかも、スタートアップやベンチャーでは、どうしても「ヒト」が少ないので、多面的な検討が難しい場合が多いでしょう。
そして、知財は、長年触れていれば段々と「鼻が利き」、どんなリスクがありそうで、どう対処すればよいかが分かってくるようになりますが、スタートアップやベンチャー、中小企業では知財を専門に扱っているわけではないと思います。そういった場合は、やはり、外部に知財の知見を求めることが有効です。
その点、スタートアップにとって特許庁の知財アクセラレーションプログラムは有効活用できそうなプログラムです。
ただ、このプログラムの中小企業版等もできれば、もっとイイのではないか?と思ったりしますが、「スタートアップ」という響きがいいのでしょうか、分かりませんけれども。。。
by KOIP
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