「STAY HOME」ということで、「4月25日から5月6日まで、この12日間、「いのちを守るSTAY HOME週間」といたします。」と小池都知事が呼び掛けています(→記事はこちら)。感染拡大を抑制するため、多くの都民がこの呼びかけに応じてくれれば、と思います。

 そうなると、家にいる時間が長いので動画配信サービステレビ等の需要が高まりますね。実際、アメリカのネットフリックスは、ユーザが「昨年末からの3カ月間で1577万人増加」したとのこと(→記事はこちら)。おそらく、日本でもユーザは増加しているのではないかと思いますキョロキョロ

 動画と言えば、様々なエンタメ系のコンテンツがあります。仕事を抜きにして、エンタメ関連には興味があり(実際、アプリでゲームをやっていたり)、時々、そういったエンタメ系企業のHPをチラチラ見ていたりするのですが口笛、そういった企業の一つにバンダイナムコホールディングスがあります。

◆エンタメ系の「IP」とは?
 バンダイナムコホールディングスのHPをチラチラ見ていて、ちょっと「おやっ?!」と思ったことがあります。

 これは職業病かもしれませんが、弁理士等にとって「IP」と言えば、おそらく、特許や商標、著作権等の「権利」を一番初めにイメージすると思います。

 一方、バンダイナムコホールディングスのHPの『主要IPのご紹介』というページにおいて『IP軸戦略』が紹介されていました。『IP軸戦略』とは何かというと、『IPを軸に、最適なタイミングで最適な事業に商品・サービスとして発信する戦略』としています(→ホームページはこちら)。

 そして、『主要IPのご紹介』で何を取り上げているかというと、
 ・「アイドルマスター」シリーズ
 ・「ウルトラマン」シリーズ
 ・「機動戦士ガンダム」シリーズ
 ・「仮面ライダー」シリーズ
 ・「スーパー戦隊」シリーズ
 ・それいけ ! アンパンマン
 ・パックマン
 ・「たまごっち」シリーズ
 ・「プリキュア」シリーズ
 ・「ドラゴンボール」シリーズ
 ・「ラブライブ !」シリーズ
 ・「BORUTO」「NARUTO」
 ・ワンピース
といった作品を列記しています。

 ここがちょっと「おやっ?!」と思った点です。というのも、エンタメ系での「IP(知的財産)」の捉え方と、普段、多くの弁理士が扱うビジネスで用いられる商品・製品・サービスで創出される「IP」の捉え方とが、ちょっと違うかも?と考えたからです(もちろん、既に分かっている人も多いと思いますが)。

 つまり、後者の「IP」は、ある商品・製品・サービスで出てくる特許や商標等を権利毎に捉える趣が強い一方で、エンタメ系での「IP」は(もちろん著作権が主体になっていますが)、ある物語や世界を構成する複数のコンテンツの束として捉えていると考えられるからです。

 バンダイナムコホールディングスのホームページにも『世界観を活かした商品・サービスの投入』と記載されています。まさに「世界観」という言葉がしっくりきます。「機動戦士ガンダム」、「ドラゴンボール」、「ワンピース」等々、題名を聞くだけで好きな人はその世界観を瞬時に思い浮かべることができます。

 この「世界観」は上記のように、登場人物や登場するアイテムのみならず、その話の内容等の様々なコンテンツから成り立っていると考えられるので、確かに「IP」として作品ごとに紹介するのは理にかなっています。

◆エンタメ系の「IP」の考え方を他の業界でも使ってみる
 では、こういった「IP」の捉え方を、他の業界(例えば、製造業など)に取り入れてみたらどうでしょう?

 私見では、エンタメ系での「IP」の使い方は、「顧客と作品の世界観を共有することで、作品を構成する様々なコンテンツを基に顧客に提供する価値創りをしていくこと」と言えるのではないかと思います。

 ある製品なりサービスには、何らかの価値、つまり、顧客に提供する価値があります。その価値を提供するために、所定のビジネスモデル(=ビジネスシステム+収益モデル)があります。このビジネスモデル全体とビジネスモデルを取り巻く環境とを、提供する製品やサービスの「世界」として捉えれば、エンタメ系での「IP」の考え方と同様に、顧客とその「世界」の「世界観」を共有することができるか否か?が今後の製品・サービス開発にとって役に立つ考え方になるのでは?と思います。

 そう考えると、ある製品・サービスを考える際に、ビジネスの「流れ」を考えるだけでなく、顧客にどのようなことを「体験」して欲しいのかについても考えることが更に重要になるのではないでしょうかキョロキョロ。しっかりとした「世界観」を考えておけば、それはブランド構築の土台にもなります。

 ドラッカーは『真のマーケティングは』、『顧客からスタートする。「われわれは何を売りたいか」ではなく、「顧客は何を買いたいか」を考える。』(P.F.ドラッカー著、「マネジメント(上)」、ダイヤモンド社(2011)、78頁から引用)と指摘しています。

 

 上記のように「世界観」を考え、顧客と「世界観」を共有することで、「顧客は何を買いたいか」をより把握しやすくなるのではないでしょうか?エンタメ系の場合は、顧客側も商品・サービス提供側も「世界観」を作品を通して共有しやすいので、もしかしたら他業界の製品・サービスよりも「世界観の共有」という観点からはやりやすいのかもしれませんキョロキョロ

 

 他の業界の製品・サービスも、その製品・サービスを通して顧客と共有することができる「世界観」を創れるか?がポイントになりそうですが、まだまだ検討を要します。今後、折に触れ、考えていこうと思います。



by KOIP

 

 

 

 

 

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