東京都が外出自粛要請を出しました。少々遅きに失した感があることは否めませんが、ここで踏ん張っておかないと、東京都、本当に封鎖せざるを得なくなるかもしれません。踏ん張りどころです。
さて、こういった中、テレワークやオンライン会議、そしてYouTube等、ネットを使った仕事や学び、娯楽が多く利用されています。
例えば、「Googleストリートビュー仮想旅行」という記事がありました(→記事はこちら)。確かにストリートビューを使って昔行ったところなどを見るのは楽しいですね
。
一方、多くの人がネットを利用すると必然的にネットワークへの負荷が増大します。そのため、実際に、YouTubeは画質制限を開始しています(→記事はこちら)
。
通信業界以外の人であれば、自分が使っている通信端末の通信速度はともかく、ネットワーク全体の通信容量などは気にしていないことが通常だと思います。しかし、通信業界からすればネットワーク全体が落ちることはどうしても避けなければなりません。画質制限をせずに放置していると、ある時いきなりネットが落ちることになりかねないので、必要な措置ですね。
◆危機が「課題」を浮き彫りにする
このように、非常時に発生した課題が、いままであまり着目しなかった「課題」を浮き彫りにすることがあります。
通信業者であれば常に通信容量の課題を認識していたとは思いますが、「全世界的の急激な通信容量の増大」というところまでは想定していなかったかもしれません。だからこそ、画質制限をせざるを得ない状況になっているのだと思います。
つまり、「通常状態での」通信容量削減の技術開発はいろいろなされていると思います。例えば、ちょっと検索してみただけでも、WO2018/066077(出願人:楽天株式会社)のように電子書籍のダウンロードサービスに関し、通信容量を削減できる発明が出願されており、様々な態様での通信容量削減の開発がされていることが分かります。
しかし、「非常時・異常事態時」というものがほとんど起こらないため(それこそ100年に一度レベルの事態)、「非常時・異常事態時」での通信容量の取扱いの技術開発に注力することはなかなかできないのかもしれません
。
とはいえ、近年は100年に一度レベルの事態が比較的多発しているような気がします。極端な場合も想定して技術開発してもいい時代に入ってしまった感があります。ピンチをより良い方向に発展する機会にしたいものですね。
◆極端な場合を考えてみる
人はついつい、現状で物事を考えてしまいがちです。いまいち常識の範疇を超えないアイデアしか出てこない、という場合、極端に物事の幅を振って考える、という発想法があります。
例えば、通信容量に関する技術で言えば、
・通常よりものすごく少ない通信容量の場合
・ものすごく多い通信容量の場合
というように極端に幅を振り、その状況下でどのようなことが起こるのか?(あるいは、実際に実験し、何が起こるのか)を検討することで新たなアイデアに結びつくこともあります。
これは化学分野の話ですが、導電性高分子でノーベル化学賞を受賞した白川英樹先生による導電性高分子の発見について、有名なエピソードがあります
。
それは、実験で用いる触媒の量を間違い、1000倍の量を使ってしまったことがキッカケで導電性高分子を発見できた、というものです
。これは、大発見が大失敗から生まれた例として取り上げられていますが、これを逆に発想法として用いることもできます。
つまり、決められた基準等があったとしても、その基準から大きく外れたところで試してみる、という発想法です。
上記通信の場合で言えば、「通常の通信量増大」ではなく「世界的な通信量の増大」とか、「想定を超える量の通信量」を前提に考えてみる、というようなことです。そうすることで、これまでとは違ったアイデアに結びつく可能性が出てきます。
◆技術的蓄積があってこそ実行可能
ただし、そのアイデアを実現できるだけの技術的蓄積をしていることが前提です。極端な場合を考えて何らかのアイデアが出たとしても、それを実験・検証するだけの技術がなければ単なる妄想に終わってしまうからです。
つまり、アイデアの実現には技術的蓄積がなければいけないということです。「素人発想の玄人実行」が理想なのかもしれません※。
※金出武雄氏の著書、「独創はひらめかない―「素人発想、玄人実行」の法則」参照
また、実際に極端な場合を試してみて想定と異なる結果になったからといって、「あぁ失敗した」で終わってしまっては意味がありません。「なぜそのような結果になったのか?」という点を明らかにするか、明らかにできなくてもその結果になった理由を検討して結果を残しておく、というプロセスがなければ、単なる行き当たりばったりになり、技術的知見も蓄積されません。
これまで蓄積したきた技術的知見があってこそ、極端な場合を考える発想法が成り立つのだと思います。
by KOIP
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