経産省が『ビジネスパーソンに向けた、デザイン経営の事例集を取りまとめました』として、『デザインにぴんとこないビジネスパーソンのための“デザイン経営”ハンドブック(2020年3月23日、特許庁)』と『「デザイン経営」の課題と解決事例』とを公開しています。

 

 特許庁、頑張っていますねびっくり

 

 『これからデザイン経営にチャレンジしたいと考えるビジネスパーソン』向けとのことですが、おそらく、ちょっとした「目」をもって身の回りを見渡せば、デザインが生活の中で生きている(活きている)ことにすぐ気が付くのではないかと思いますキョロキョロ

 

◆デザインはどこから生まれるか?
 KOIPの周りにも手が不自由な方がいてよく分かるのですが、手の力が衰えてきた高齢者、若しくは病気等により手に力が入らなくなった人が食事をする場合、又は食器をうまく使えない子供が食事をする場合等、当事者以外には分からない苦労が多々あります。

 

 例えば、普段何気なく使っているスプーン。手指をうまく動かせない場合や手指に力が入らない場合、うまく使えませんショボーン。スプーンの「柄」ひとつとっても、その直径が少し小さいだけでうまく持てないので、「柄」の部分に布等を巻いて太くして使いやすくしたりすることがあります。

 

 こういったことは当事者か、当事者が身近にいる人、あるいは当事者の立場に立てる人でなければ気が付きませんびっくり

 

 そういった当事者の立場に立ってデザインをうまく活用している商品は、世の中にはたくさんあると思います。例えば、赤ちゃんがスプーンを上手に使えないことにヤキモキしている親の気持ちに着目し(親の立場に立ち)、ある工夫をした商品が、「株式会社 和える」さんから販売されています。

 

 それが、容器の内側に「返し」を設け、スプーンに食べ物を乗せやすくした機能的なデザインの「こぼしにくい器」です。
 

 この「こぼしにくい器」、意匠も登録されています(意匠登録第1462766号)。
 

 
(上記意匠公報の使用状況参考図2から引用)

 

 器の内側に「返し」がついています。この器なら食べ物をすくいやすいですね!(大人でも使えますね)

 

 「和える」さんのホームページを見ると、食べ物を器の外にこぼしてしまうお子さんを見たお母さんやお父さんの悩みをどうしたら解決できるのか?お母さんやお父さんの立場に立って考えて、上記のような機能的なデザインが生まれてきたのだと思います。

 

 このように、デザインの多くは、具体的な人の立場に立って「こうできたらいいな!」(つまり、「何を実現したいのか?」「誰に何を提供したいのか?」を構想する)という「想い」があり、それを実現したいカタチを考えることで生まれてきているように思えます。

 

◆想いを実現する技術
 とはいっても、「想い」だけで物は生まれません。考えた「カタチ」を実現したいと思っても、その「カタチ」を実現するためには技術が必要です。

 

 どのような材料を用い、どのような加工法や材料等を用いれば考えたデザインを実現できるのか?考えた「カタチ」をどうしたら実現できるのか?を考え、実行する必要がありますキョロキョロ

 

 その場合には、「カタチ」を実現できる材料に関する知識や加工法に関する知識、つまり、技術が分かっていなければいけません。

 

 上記『こぼしにくい器』について「和える」さんは、ホームページで『この”返し”は、愛媛の職人さんのろくろを引く高い技術から生まれたカタチ。aeruの商品は、先人の智慧と職人さんの手仕事から誕生します。』と記載しています。
 

 具体的な技術の裏付けがあるからこそ、「こぼしにくい器」が生まれたといえるでしょう。

 

※ここでの「カタチ」は外見だけでなく、その「カタチ」に触れた人々が体感する価値(例えば、器だったら、手にしたときに暖かで滑らかだが滑りにくい感触をユーザーに与え、手によく馴染む感覚を与える等)も含むことをイメージしています。

 

◆「想い」と「技術」を結ぶのはデザイナー
 上記のように「想い」だけではなく「技術」が必要ですが、「想い」の部分はデザインが分かるデザイナーの得意分野で、「技術」は技術者の得意分野といえますニヤリ

 

 「想い」を実現するためには、デザイナーと技術者とが共働することが必要になりますが、その場合、デザイナーが技術を分かるようになり、技術者がデザインを分かるようになると、デザインを実際の「カタチ」にしやすくなると思います。

 

 例えば、容器メーカーの本多プラスさんは、新人デザイナーに金型研修を受けさせています。これにより、デザイナーさんが顧客のところに行った際、どのようなデザインの容器だったらどの程度の費用、期間で製造できるのか?を、その場で顧客に伝えることができるようになっています(2011年9月22日放送のカンブリア宮殿より)。
 

 すべてのデザイナーが技術を分かっており、すべての技術者がデザインを分かっているのが理想なのでしょうが、それはなかなか難しい。そこで、少なくともお互いを理解し合える素地さえできれば(それこそが難しい、ということもあるかもしれませんが)、完全に分かる必要は必ずしもないと思います。デザイナーと技術者との垣根をなくすことが大事だからです。

 

 そして、様々なバックグラウンドを持った人々のチームを作り、素直な状態で相手と接してアイデアを出し合うことができる状態が理想なのだと思いますキョロキョロ

 

◆おまけ
 というKOIPも、もともとは技術者上がり。初めのうちは、デザイン系のBLMさんの言っていることがうまく理解できませんでしたが、このところようやく分かってきた気がします(たぶんキョロキョロ?!)。

 

by KOIP

 

 

 

 

 

 

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