KOIPが知財業界に入ったころに比べ、「特許」や「商標」といった知的財産権についてニュースやドラマで耳にする機会が増えてきた気がします。
しかも、高専生や高校生(時には小学生も)が特許を取得したというニュースが時々報じられます。例えば、県立島原工業高校の生徒さんが特許をとったことがニュースで報じられていました(→ニュースはコチラ。特許は、おそらく特許第6644388号ですね)。すごいですね!
KOIP&BLMは、大企業以外のお客様のお仕事をメインでさせて頂いているのですが、「弁理士」という知財のプロを知らなかったがために、知的財産について「重症」又は「重体」の状態で相談されに来るお客様も時々いらっしゃいます。
何とか治療するのですが、もっと早くに相談をしてくれていたなら、、、と思うこともしばしばあります。
かといって、「発明とか商標?どうすればいいか分からないし、弁理士?便利屋のこと?」という状態の企業やこれから事業を立ち上げる方がいるのも現実です。
そういった方々に大樹七海さんの「弁理士にお任せあれ」という本は最適だと思います(しかも、2~3時間あれば通読できます。以下、『』は本書からの引用です。)。
◆「弁理士にお任せあれ」の内容
本書は知的財産の難しい話を解説している本ではありません。
皆さんが「いいアイデア、いいデザイン、いいネーミングを思い付いた!」けど、「どうやったら自分のものにできるの?」「ビジネスでどう活用すればいいの?」等を考えたときに、知財に関する様々なアドバイスや特許、意匠、商標等の知的財産権の取得を皆さんの代わりにしてくれる「弁理士」の「使い方」への「入口」になる本です。
自分が何をしたいのか決まっていれば、最初の方に見開き1ページで『本書の見方』が書かれいるので、そのガイドに従って該当する章を読めばよいようになっています。親切な構成ですね。
具体的に何が分かるかというと、
『①外部専門家として知財のプロである弁理士の探し方、選び方がわかる
②知財のプロである弁理士の仕事の内容がわかる
③これ1冊で、特許・商標・意匠の権利の取り方、実用新案権・著作権・不正競争防止法との違いについて浅く広くわかる
④これ1冊で、特許・商標・意匠の権利の取得後から紛争処理まで、浅く広くわかる
⑤弁理士の考え方や職務能力の解説』
が分かります。
もし自分が何をしたいのか決まっていなくても、知的財産について不安を感じた場合に、なぜ「弁理士」に相談するとよいのか? つまり、弁理士に相談した場合のメリットと、相談しなかった場合のデメリットについて、第1章に書かれており、これまで知財にあまり触れていなかった人でもよくわかる内容になっています。
忙しい方は、取りあえず、第1章を読んでみることをお薦めします。図表含めて20ページ程度ですので(文章に換算するともっと少ないかも)、すぐ読めます。
更に、単にメリット・デメリットを伝えるだけでは「メリットなどは分かった。でもどこにその弁理士とやらはいるんだい?」となってしまいます。
そこで本書では、知財についてどこで相談を受けることができるのか、自分たちに合った弁理士はどう探せばよいのか?についても具体的に分かりやすく解説されています。
著者も『知財のプロである弁理士の存在を知り、明日にでも会ってみよう!』と思ってもらうことを念頭に置いていると記載していることから沸々と伝わってきますが、本当に明日にでも会える道筋を、本書は示しているといえます。
◆本当に『なんでもっと早く来なかったんですか!』
本書(p.7)にも記載されていますが、KOIP&BLMも実感として、「早い段階で相談する」ことの重要性を強調したいと思います。
実際、「ある技術についてSNSに公開後、とても評判が良くなったので特許を取得したい」とか、「ある商品を売り出したところ、その機能に人気が出て他社が模倣し始めたので特許を取得したい」というような相談が舞い込んだことがあります。
特許権の取得については、もはや「重体」です。
しかし、何とか事業はうまく進めなくてはなりません。そこで弁理士としてはいろいろ知恵を絞る訳です。
例えば、別の観点から他人が欲しがる部分はないか?その欲しがる部分を権利化できないか?とか、改良の予定はあるのか?とか、商標をきちんと取得して信用を積み重ねていきましょう等々です。
とはいえ、本家本元の技術や機能についてはもはや手遅れで、そうなってしまうとできる対応も限られてきます。「もっと早くいってよ~(泣)」とどこかのCMのように心の中では思ったり思わなかったり。。。
◆実は弁理士も読むとよい?
本書は弁理士、特に新人弁理士や長年弁理士をやっていて初心を忘れがちな弁理士も読むとよいと思います。
1年365日24時間、特許明細書や商標の区分・類似群コード等とにらめっこしていると、ついつい忘れてしまいがちですが、本書でも指摘されているように、弁理士って、お客様とのコミュニケーションが命です。
しかし、初めて弁理士に相談する人の場合、相談に慣れていないことがほとんどです。
KOIP&BLMのお客様は大企業以外がメインであるため、そのような方々がお客様であることが多く、いつも雑談も交えていろいろとお話を伺った上でお客様の事情をこちらから把握するようにしています。
そのため、実はあまり意識していませんでしたが、確かに、もしお客様自身が「何を伝えたらよいのか」を事前に把握しておけば、弁理士との打ち合わせに非常に役に立ちます。そういったことを本書はあらためて気づかせてくれました。
特に新人弁理士は本書を読んで、知財に不慣れなお客様からコンタクトを受けたとき、どういったことを伝えてほしいのかお客様に事前に案内することもできますね。
更に、本書では弁理士に求められている業務が幅広く紹介されていますが、それを読んでKOIPも「うん、こりゃぁ頑張らねば」と思いました。いい意味でプレッシャーになります。
なお、弁理士は、ドラマの弁護士のように法廷等の表舞台?に立つことはほとんどありません。
でも、それでいいと思っています。
弁理士にとって表舞台とは、世間一般が考える「裏」にこそあります。顧客の土台を支え、主役である顧客をサポートする、それが弁理士にとっての表舞台であり、プロとしての腕の見せ所だからです。法廷で丁々発止するのは、その道のプロである弁護士に任せればいいのです(補佐人や付記弁理士として横から弁護士をサポートする、というのはありですが)。
◆まとめ
体調がすぐれない時、自分で治そうと思って栄養ドリンクを飲んだりビタミン剤を飲んでもよくならず、病院に行って処方された薬を飲んだらすぐ治ったということ、ありませんか?
結局、餅は餅屋、プロに初めから相談したほうが時間もコストも節約でき、なによりも早く安心できます。
知財をビジネスで使おう!と思った場合、まず本書を読むといいと思います。
by KOIP
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