昨日のKOIPさんの記事に、ロッテさんの「雪見だいふく」の話がでてきたので、今日はさっそく「雪見だいふく」を購入し、食す。 昨日の話は、顧客のニーズを把握・想定し、これを解決すべく技術開発をし、これを何等かの方法(特許取得を含む)で社内に蓄積していくと、大きな道ができていく、といったような内容、だったと思う。今日はその技術開発の成果の一つとして生み出された商品が、これに係る特許が切れた後、どのように生きていくのか、ということを少し考えてみたい。少しだけど。
中はこんな感じ。下は後述のいちご味。
あぁ、特許番号が書いてありますね。KOIPさんの記事によれば、基本特許(特許第1537351号)があったが、これは存続期間が満了し、現時点では、特許第4315607号が存在するとのことだった。
ちなみに、切れた特許番号を表示していると虚偽表示になるのでご用心。
特許法188条には、「一.特許に係る物以外の物又はその物の包装に特許表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為」等の行為をしてはならない旨規定されている。
同198条は、違反した場合、3年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処すと規定。
KOIPさんの記事によれば、下記番号の特許は2021年3月19日が存続期間満了日なので、来年の同日を過ぎるとこの包装は使われなくなるだろう。この写真は記念になるかも?!
上記特許第4315607号の特許請求の範囲を少しだけ見てみよう。
「【請求項1】 もち米:うるち米が略100~85:0~15で構成されるでん粉と糖類と水との混合加熱により得られる粘弾性物にて冷菓類を被覆する被覆冷菓からなり、前記粘弾性物が、でん粉を3~55重量%、砂糖と麦芽糖が1:0.5~2の比率で全糖類量の50重量%以上を占める糖類を20~70重量%、水を25~40重量%含有することを特徴とする 被覆冷菓。」とある。
(注意:その他請求項は複数あるので、上記のみが権利範囲ではない。)
細かい説明は、KOIPさんの今後の記事に期待する?として、要するに、「粘弾性物」とは、例えば、「雪見だいふく」の餅部分を指し、「冷菓類」とはアイスクリームを指し、これらを構成要素とする「被覆冷菓」を意味し、かつ、特定の数値範囲で権利範囲を規定している。そうすると、「雪見だいふく」の製品そのものに権利があると言ってもよいだろう。
そうすると、上記特許が切れた後は、「雪見だいふく」そっくりの、餅の中に入ったアイスが出回る可能性がある。美味しさは真似できないかもしれないとして、多少安ければそっちを買ってしまうかもしれない。どうすれば、同社の「雪見だいふく」を、みんなが買い続けるだろうか。
まずは、ロッテ(LOTTE)という商号商標の存在は大きいだろう。信頼している企業の名があればそれだけで買う。
さらに、いや、それ以上に「雪見だいふく」という商標の力は絶大だと思う。当然、「雪見だいふく」という文字商標について1981年7月に出願し、1985年1月に商標登録(登録第1742355号)を取得している。但しこのときは、第30類の「アイスクリーム」のみ指定して登録を取得していた。もう少し広めに商品(例えば「菓子」)を指定してもよかったかもしれない。
余談だが、ときどき使用する商品しか指定しない出願人(代理人)がいる。
これは米国等の使用主義国に出願する場合は正しいのだろう。しかし、
日本は登録主義を原則とする。近時は様々な商品に展開する可能性がある。
費用のことを考えても1区分の中でなら、多めに指定してもよいだろう。
商標が識別力が低い場合は別として、私が代理人ならそうするかなぁ
そして近時、同社は今度は、区分を広げて「雪見だいふく」の商標登録(登録第6158838号)を取得している。第30類の「菓子」は当然として、「パン」等は、他社とのコラボ企画等があったからだろうか??? 第28類の「おもちゃ」等もある。
個人的には、雪見うさぎ、が好き。これはキャラクターで商標登録しているのではないか?と思って探した。「雪見うさぎ」の文字商標(登録第5813234号)はあった。
←パッケージ左に記載され、CMにも流れる「今日ももちもち」の文字商標(登録第5897366号)もあった。 しかし、うさぎ本体はなかった。雪見だいふくのモチモチ感をあのキャラクターは体現していて、立体商標として登録させたいぐらい。個人的に抱き枕(ぬいぐるみ)として欲しい。。。
ちなみに、同社の「パイの実」の製品パッケージに記載のキャラクターの登録はあった。これはかわいい。何かストーリーが企画されているよう。
次に、いつものパッケージ”で購入する可能性が高い。赤くて、二個入りパッケージだ。ちなみに、いちご味のハート型の雪見だいふくも購入。“いつものパッケージ”の基本的構成態様は変わらず、全体のイメージの一貫性を保っている。いちご味も“いつもの”と思って買うことになる。そうすると、パッケージで商標登録を取得するというのも手だが。探せなかった。
ちなみに、同社の以下のような立体商標登録はあった。
登録されるか、登録されてもどの程度第三者の使用を排除できるか解らないが、以下の2面図を立体商標出願することが考えられる。少々写真は整え、平面図の無駄な文字は削るとして。
そして、最後に、食べた感想だが。美味しい。美味しいのだけど、それ以上でも、それ以下でもない。シンプルな味。この感想は、いっけんすると、ネガティブに捉えられそうだが、このシンプルさが、何かアレンジができる予感がする。・・・と思って、同社のHPを開いたら、やっぱりあった。レシピ集。いろいろ試してみたいね。こちらとこちら。
きわめつけが、あずきバーを溶かして、これに雪見だいふくを入れて、お汁粉にするもの。こちらのブログ等に紹介がある。これは美味しそう。そうだ、知財ネタとしては、「あずきバー」をやらないと・・・。 今日はこれぐらいで。
By BLM
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