小説 ♪絶唱♪ -34ページ目

小説 ♪絶唱♪

ドキメンタリ-風小説絶唱
epilogue《エピローグ》小説それから
第3部 こころ 75歳になった男が感じる天の役事
第2部 共鳴太鼓 未来を背負う若き世代の物語
第1部 やまぶきの花 戦後まもなく生まれた男が生きた昭和、平成、令和の物語。

  

前回のあらすじ

 ちかくの公園の桜が満開を迎えた。職場の同僚との話題の一つにと思って本田は午後出勤のパート勤めの出勤時間を早めて遠回りして桜見物に出てみた。昨年まで続いていたサッカースタジアムの熱気は無かった。公園には春風が吹きふけていたが心地良かった。駐車場の横の上り坂を歩いて上段の丘に登る。スタジアムの大きなライト設備の塔が見えるすぐ下に桜並木が目に入った。子供たち数人と母親たちが輪になって談笑していた。広場の土手の近くでラジコンカーを手に走り回っている女の子がみえた。幼児も本田を見つけたのか手を振ってきた。

 遠い昔、喜びで滲み出た涙の先に見えた桜。またある年は歯を食いしばって耐えていた時に、霞んだ目先に見えた桜・・・。様々なことが思い出されたきた。

 

 4月8日、教会で1時間の”恒例の集い”があった。終了後、食事時に後藤徹氏の拉致監禁からの解放勝利を如実に綴った創藝社刊『死闘4000日の監禁からの脱出』の話になった。

 

 4月1日に大学生になったばかりの児玉孝輔が「この地でも同じような拉致監禁事件が有ったと4月6日付けのsuday世界日報に掲載されていましたが本田さんご存じでした?」

 本田は後藤徹氏の著書を読んで解放まで10年半にわたる長期間、しかも親族を脱会説得の表舞台で行わせ、陰で台本を書いて指示いた人物たちが暗躍していた事はこの本を読んで始めて知ったことだった。

「僕は長い間、県境に住んでいて今の今まで知らなかったというのが事実なんだ」と口にしたが胸には重いものが残った。

 児玉が手渡してくれたsuday世界日報を手にした。

 題字の下のトップ写真の下に

”軽んじられた信教の自由”東京地裁 民法上の不法行為根拠に家庭連合へ解散命令 の文字

 

 児玉が言った記事は4ページと5ページの見開きに有った。

4ページの横見出しは

寝袋に押し込められ一室に 

縦の見出しは

 家庭連合信者夫婦への拉致監禁事件

見出し文は

 11年前の2014年7月、広島市内で世界平和統一家庭連合(家庭連合 旧統一教会)信者の40代夫婦(当時)が親族らによって拘束され、大阪府のマンションの一室に閉じ込めらる事件が発生した。広島高裁は20年、夫婦を監禁したキリスト教関係者や親族らに約170万円の支払いを命じている。妻の金森百合絵さん(50代 仮名)は世界日報の取材に応じ、当時の状況について語った。(信教の自由取材班)

 と概要を要約していた。

 縦三段抜きの中見出しには

 現れた牧師らが脱会説得 幼い子供と引き離し5日間

 

左紙面5ページの横見出しは

「自分の頭では考えられない

縦三段抜きの中見出しには

 「悪質な犯罪行為」と認定

    関係修復の模索も

 

 本田は270万の県人口で事件のあった市内人口118万人という一地方都市の一つにすぎない広島市内でもこうした事件が発生した事実を始めて知った。

しかも親族の意向を利用しての犯行だった事に驚愕した。

事件の発生する当時、金森さんの当時8歳の長女は実の母親と実の妹と一緒の買い物に車で出かけたと記事にはあった。

 金森さんは一緒だった3歳の長男とは引き離されて、寝袋に押し込まれた車で移動させられ。マンションに拉致監禁されたとある。そのマンションの一室には既に夫の金森さんが連行されたいた。夫は危篤の叔父の見舞いにゆくにはずになっていた・・・とある。監禁された場所すら判らなかったという。大阪市内のマンションだと判ったのは数日後だった。ガス管に有った印字されたシールからだったと証言している。

 

 その後、金森さん救出され帰広する。

 「広島に戻った日の夜、妹夫婦が自宅まで連れてきてくれた。子供たちは玄関で私の顔を見るなり、大号泣していた」

 

タブロイド判のsuday世界日報を読んでいる本田の対面の席に座っている荒元婦人が「そうよ、あの時その知らせをうけて教会員全員で必死に祈ったわ!」と何時もの笑顔を強張らせて言った。

 本田は荒元婦人の言葉に胸の内から釣り鐘が共鳴するような音が起こているのを自覚した。

 

 

(文中の小文字部分はsuday世界日報『0120-72-1709』4/6から )

 次回4月12日ころ