前回のあらすじ
4月1日に大学生になったばかりの児玉孝輔が「この地でも同じような拉致監禁事件が有ったと4月6日付けのsuday世界日報に掲載されていましたが本田さんご存じでした?」と聞いてきた。手渡された紙面には被害者金森さん(仮名)は一緒だった3歳の長男とは引き離されて、寝袋に押し込まれた車で移動させられ。マンションに拉致監禁されたとある。そのマンションの一室には既に夫の金森さんが連行されたいた。夫は危篤の叔父の見舞いにゆくにはずになっていた・・・とある。監禁された場所すら判らなかったという。大阪市内のマンションだと判ったのは数日後だった。ガス管に有った印字されたシールからだったと証言している。数日後、知り合いの荒元婦人が拉致監禁されていた婦人の名前を教えてくれた。『私の息子と同級生だったの』と打ち明けてくれた。
4月13日は日曜日だった。教会で韓国で行われた天苑宮入宮式のライブ放送を視聴した。新しい顔は無かったが今年始めて顔を会わした教会員もいた。式典は9時過ぎから始まり11時半ころまであった。その後、本田は5階にある談話室に階段で上がった。
15脚あるテーブルと対面ソファ、四畳ほどの幼児用の遊び場は何処も満席だった。
本田は窓際のテーブルに座った数人から手招きされた。木村、橘、それに渡辺と言った何時ものメンバーの顔と月に一度は顔を合わせている10名ほどだった。
軽食並みの食事が終わってコーヒータイムになった。木村一二三がコーヒーカップを手に「僕はライブを観て感激したね。僕が訪韓した1年前は建物の外からしか観れなかったが完成した姿を観て旧約聖書に出てくるソロモン王が建てたエルサエル宮殿を連想したね」と興奮していった。橘が木村の言葉を受けて「エルサエル宮殿と言えば旧約聖書のモーセの出エジプト記の後、荒野を流浪し海を渡ってカナンの地に入りサウル、ダビテの後の王、ソロモン王が建てたと言う宮殿?」
「そうそう、その宮殿、その後、ユダヤ人はバビロンによっての捕虜となり宮殿も破壊される。歴史が下ってペルシャによって解放され宮殿も再建されていった。今もその一部の壁が「嘆きの壁」として現存していると言う宮殿だよ。僕は写真でしか見たことはないがね」
本田は昨夜、木村一二三と同じ様な事を思って旧約聖書を開いてみた。
旧約聖書列王紀上のページを捲ってエルサレム宮殿建設の経緯を読んだ。
・・・旧約聖書列王6章11イスラエルの人々がエジプトの地を出て後四百八十年、ソロモンがイスラエルの王となって第四年のジフの月すなわち二月に、ソロモンは主のために宮を建てることを始めた・・・11 そこで主の言葉がソロモンに臨んだ、
12 「あなたが建てるこの宮については、もしあなたがわたしの定めに歩み、おきてを行い、すべての戒めを守り、それに従って歩むならば、わたしはあなたの父ダビデに約束したことを成就する。13 そしてわたしはイスラエルの人々のうちに住み、わたしの民イスラエルを捨てることはない」。14 こうしてソロモンは宮を建て終った・・・
本田は続けて原理講論の後編を読み進んだ。その後イスラエル王国は南北王朝に分裂し、バビロニアによっててエルサレム宮殿は破壊されユダヤ民族は捕虜として連行される。その後ペルシャによって解放され、エルサレム宮殿も再興されると
・・・ 原理講論の後編の第3章摂理歴史の各時代とその年数の形成の
(四)南北王朝分立時代400年
(五)ユダヤ民族捕虜及び帰還時代210年・・・
つづけて新約聖書ヨハネの黙示録を開いた
・・・21章22 わたしは、この都の中には聖所を見なかった。全能者にして主なる神と小羊とが、その聖所なのである。
23 都は、日や月がそれを照す必要がない。神の栄光が都を明るくし、小羊が都のあかりだからである。
24 諸国民は都の光の中を歩き、地の王たちは、自分たちの光栄をそこに携えて来る。25 都の門は、終日、閉ざされることはない。そこには夜がないからである。26 人々は、諸国民の光栄とほまれとをそこに携えて来る。27 しかし、汚れた者や、忌むべきこと及び偽りを行う者は、その中に決してはいれない。はいれる者は、小羊のいのちの書に名をしるされている者だけである。
22章 1御使はまた、水晶のように輝いているいのちの水の川をわたしに見せてくれた。この川は、神と小羊との御座から出て、2 都の大通りの中央を流れている。川の両側にはいのちの木があって、十二種の実を結び、その実は毎月みのり、その木の葉は諸国民をいやす。3 のろわるべきものは、もはや何ひとつない。神と小羊との御座は都の中にあり、その僕たちは彼を礼拝し、4 御顔を仰ぎ見るのである。彼らの額には、御名がしるされている。5 夜は、もはやない。あかりも太陽の光も、いらない。主なる神が彼らを照し、そして、彼らは世々限りなく支配する。
23章1御使はまた、水晶のように輝いているいのちの水の川をわたしに見せてくれた。この川は、神と小羊との御座から出て、2 都の大通りの中央を流れている。川の両側にはいのちの木があって、十二種の実を結び、その実は毎月みのり、その木の葉は諸国民をいやす。3 のろわるべきものは、もはや何ひとつない。神と小羊との御座は都の中にあり、その僕たちは彼を礼拝し、4 御顔を仰ぎ見るのである。彼らの額には、御名がしるされている。5 夜は、もはやない。あかりも太陽の光も、いらない。主なる神が彼らを照し、そして、彼らは世々限りなく支配する。・・・
すべて読み終わったのは夜中の1時過ぎだった。
本田が二人の言葉のやり取りを聞きながら昨夜の事を思い浮かべていると二カ月くらい顔を出していない本間が渡辺に言った。
「渡辺さん、東京の裁判の事だけどね。本当のところこれからどうなっていくか心配しているんだ」と思いつめた表情で聞いた.
本間の言葉に相槌を打ちながら木村が
「我が家も妻と心配しているんだよ。地方によっては行政からいろいろな事で注文を付けられている話もラインで入ってくるしね。学校では生徒間で虐めに近い出来事まで起こっているというしね」
木村の横に座っていた丸岡信也が
「これまでも家庭連合と元信者の人たちとの間で裁判があったというは知っていたが最近のテレビでは盛んに裁判所が解散命令の判決をしたっていっているだろう・・。
僕なんか、これまでの経緯がでよく理解できていないだ。
今年になって特にテレビ報道では最高裁判所が旧統一教会の過料事件に有罪判決をしたっていうニュースもあるしね・・・.渡辺サン、簡単で良いからこれまでの経緯から教えてくれませんか?」
渡辺は首を二、三度回しながら言った。「今は詳しい資料を持ち合わせていないが、今覚えている範囲での経緯なら話せるがね」
「そもそも事の発端は’22年(令和4年)7月8日、参議院議員選挙の街頭演説中に元首相が手製銃で撃たれ二発目が当たり心肺停止状態になり、病院で死去した狙撃暗殺事件からだった事は理解しているね。それから、殺害犯の親が家庭連合の信者だったことからまずテレビが大きく取り上げ始めたんだ。様々な意味を込めて“話題性有”と見てね」
皆が頷いた。「マスコミ、特にテレビ報道が狙撃犯の親の宗教に注目しこれを大きくとりあげたね。その中でも親の献金が犯人の行動の動機だとして取り上げ始めてから更に騒ぎは大きくなっていったのは記憶しているね。一つ俺が言いたいのは動機が殺人という行動まで至った経緯が明らかになる前に“親の献金が引き金なった”という世論が形成されたことだね。ここから国会での論議に上がり、当時の岸田首相の『民法上の不法行為も解散事由としての法令違反になりうる』との一夜にしてこれまでの法令違反は刑事罰を伴うものを指すという従来の政府解釈を変更したことによって、文部科学省が質問権行使を行っていたわけだ。資料によると令和4年11月以降令和5年7月まで7回に渉って“質問権”の行使が行われたとあるね。家庭連合の会見によれば『最初は段ボール七箱くらいになり、続けて8箱それが10箱にもなった』と言っているね。しかも過去何年にもわたり、全国の家庭連合の資料など膨大な量だろう。その労力たるや過酷な要求だったことが考えてみただけでも判るだろう。
このような要求のなか’23年10月13日文部科学省が家庭連合に対し、解散命令請求を東京地方裁判所に提出し、’24(2月22日)午後、東京地方裁判所にて、家庭連合に対する解散命令請求の是非を巡る裁判の審問が初めて開催される・・・。
質問権行使の過程で家庭連合側が回答を拒否したとして文部科学省が過料通知を行った裁判で、東京地裁、東京高等裁判所は教団代表に対して過料10万円に処するとの決定を認めたんだ。
これに対して家庭連合は最高裁判所に「憲法違反である」と申し立てたことに対して今年3月5日最高裁判所は「違憲をいうが、その実質は単なる法令違反を主張するものである」として判断しなかったという」
続けて渡辺は「朝日新聞の記事によれば『この裁判では、解散命令に必要な条件である「法令違反」とは何を指すのかが争われたが、決定は、刑法違反だけでなく「民法上の不法行為も含まれる」とする初判断を示した。裁判官5人全員一致の結論で、過料の是非をめぐる司法判断が確定した』と有ったね」
本田は渡辺一喜の話を聞きながら、家庭連合の弁護士が「空中戦の戦いで挑まれた」と悔しさを滲ませた意味がやっと理解できた。
さらに渡辺は「こうした流れを受けて今年3月25日東京地方裁判所は世界平和統一家庭連合に対する解散命令請求について、解散命令を認める決定を行なったんだ。これに対して家庭連合は『東京高裁への即時抗告を検討して行く所存です』としてホームページで
『当法人の教会や信徒に対する迫害は激しさを増しており、数人の政治家と官僚の個人的利益のために日本の民主主義が脅かされ、日本国民である信徒の人権と生存権が侵害されています。
本来、政治が一定の意図をもって宗教を迫害し、また、一方に誘導された世論が加熱したとしても、あくまでも公正中立な立場から判断を下すのが司法の役割であると言えます。司法が法の支配、法理主義といった民主主義の基本原則を破り、国際法に違反してまで宗教弾圧に与することが無きようにと願います。そのために当法人としては最善を尽くして闘う方針です。』(家庭連合ホームぺージ内ニュース)
そして4月7日には東京高裁に抗告状を提出したことを発表したんだ」
渡辺一喜は話終わって一人一人の顔をみて、最後は横に座っている本田の目を見つめた。
本田は「文科省が2023年10月、東京地方裁判所に解散命令の根拠として提出していた複数の信者の元信者の陳述書には本人が証言した内容以外の事が記されているなど捏造疑惑が明らかになっているんだね。それともう一つ私も知らなかったが拉致監禁され強制脱会に至った人たちも多くあることが判ったね。統一教会信者が被ってきた拉致監禁被害は1966年以来、『4300人』を数えるというらしいんだ」と最近読んだ後藤徹氏著“死闘”の内容、それと本田たちが住んでいる同じ市内で起きた拉致事件を思い出して言葉強く言った。
本田の頭の中に突然映画のワンシーンが浮かんだ
「あぁ‥いやな渡世だなぁ」
俺たちゃな御法度の裏街道を歩く渡世なんだぞ・・・・
いわば天下の嫌われもんだ・・・・
座頭市の仕込み杖の刃の煌めきと唸り声が
俳優勝新太郎主演の映画「座頭市」が・・・・
次回4月26日ころ
