クリエイティブであることと金融危機 | SMART広報『蛙の目』

SMART広報『蛙の目』

株式会社シンクアップの広報を考えるブログです。

以下の2冊がクリエイティブ・クラスについて書いた本です。
前のエントリーの発展として考えていることです。

クリスティーズが低調って当たり前
|蛙の目


まあそうですが、今回の金融バブル崩壊でどうなるでしょうか。

気になるところです。

一応、本の紹介だけしておきます。

そういうものがあるとすればクリエイティブ・クラスへのダメージは大きいでしょうが、また未来を考えると、やはりそこにしか希望はないような気もします。

レバレッジやCDSなどの金融イノベーションを一旦切り離してみて、それでも残るイノベーションをネット社会との関係で捉えなおしてみたいと思わせるテーマです。

クリエイティブの問題は「組織」対「個」という問題でもあり、ほんとに「クリエイティブ(な人)」が、組織に取り込まれず、それこそ自由に「個」として活躍できる社会が私的には理想の社会です。

バブルが「記号」として「芸術」を消費する様は、パチンコ景品所のボールペンやライターの石(その時代しか知りません)のようで、にがにがしいものでしたが、おそらく、それは変わるでしょう。

リチャード・フロリダがいうクリエイティブ・クラスと私が考える「クリエイティブ」とは違いますが、「対組織」というテーマで「個」の生き方を考えれば、どこか通じるものがあります。

不況に強いSNS
- 池田信夫 blog

上記のブログ記事も参考にどうぞ。


クリエイティブ・クラスの世紀/リチャード・フロリダ
¥2,520
Amazon.co.jp
出版社 / 著者からの内容紹介

「クリエイティブ・クラス」とは、いったい何なんでしょうか。
 提唱者のリチャード・フロリダは、クリエイティブ・クラスが流動化している状況を調査するのに職業分類を用いました。これに疑問なく従えば、いわゆるプロフェッショナルに定義される知的労働者を指すことになります。
 ところが、この分類には当てはまらない、たとえばトヨタの工場労働者、伝説的なホテルマン、さらには本稿でも紹介されているSASインスティテュートやグーグルなどの社員についても、そうであると言っています。
『ハイコンセプト』の著者、ダニエル・ピンク――彼もクリエイティブ経済の賛同者の一人ですが――いわく「フロリダの定義はかなり広い」。
 では、ピンクの考えるところでクリエイティブ・クラスを定義すると、「左脳思考だけでなく、右脳思考もできる人」であり、「何らかの専門性を持ちながら も、そこに埋没することなく全体観を俯瞰でき」、かつ「論理的でありながらも、美しさや遊びといった、論理では説明し切れない世界を理解できる人」という ことになりましょうか。
 しかし、定義はあまり重要ではありません。ナレッジ・ワーカー(知識労働者)のそれはそもそもあいまいで、ホワイトカラー全般プラス一部のブルーカラー といった認識に落ち着いているのではないでしょうか。ナレッジ・ワーカーの台頭にまつわる主張は、むしろ、天然資源、工場、労働者数などが物を言う工業の 時代から、知識や情報、ビジネスモデル、労働者の質が競争を左右する知識の時代へ移行しているという、パラダイム・シフトの指摘でした。
 クリエイティブ・クラスという概念は、パラダイム・シフトではなく、ナレッジ・ワーカーの「再解釈」を訴えています。21世紀における付加価値、すなわち「イノベーション」を創造できる、あるいはリードできるナレッジ・ワーカーといえるでしょう。
 その背景には、さまざまな分野において標準化が進み、定型的な知識が広く共有されるようになった現在、ドロシー・レオナルドが唱えた「ディープ・スマート」、野中郁次郎らの「豊かな暗黙知」など、属人的な知の重要性が認識されていることがあります。
 くわえて、イノベーション――けっして一発屋的ではなく――を継続的に実現するには、このように標準化や共有化が難しい知をふんだんに持ち合わせていることが有利であり、もちろんただ持っているだけでは無意味ですから、これを組織的に活用できる能力が不可欠です。
 よって日本でも、必然的にダイバーシティ・マネジメントが重要性を帯びてきます。とりわけ、暗黙知の宝庫である「団塊世代」、ビジネスパーソンとしての 知識や能力、組織へのロイヤルティも高く、不文律もわきまえている「ワーキング・マザー」の再活用が不可欠です。また、若者が将来の希望を失うことなく、 組織に貢献し、学習を重ねていくためにも、ミドル層の働き方や処遇を変えていく必要もあるでしょう。
 しかも、日本はこの2007年、65歳以上の高齢者が21%以上を占める「超高齢社会」に世界で最初に突入します。そして、2055年には総人口は1億 人を切り、平均寿命が女性は90歳、男性は83歳を超え、高齢者比率も40%を超えるそうです。このように、労働力人口も生産人口も減少していくという未 来においては、高齢者や女性の活用は時代の要請であり、またイノベーションの源泉となるはずです。
 クリエイティブ・クラスを「創造的な人たち」と直訳してしまうと、その本質や背後にある時代の変化を見失いかねません。しかし、このようにデジタル思考してしまう人はそもそもクリエイティブ・クラスではないのかもしれませんが――。


クリエイティブ資本論―新たな経済階級の台頭/リチャード・フロリダ
¥2,940
Amazon.co.jp
著者について

リチャード・フロリダ
Richard Florida
トロント大学ロットマン・スクール・オブ・マネジメント教授。同スクールの地域競争力に関する研究所のディレクターも務める。
本書The Rise of the Creative Class刊行時は、カーネギーメロン大学ハインツ公共政策スクール H. ジョン・ハインツ3世記念講座教授。
ア メリカでベストセラーとなった本書はその後15カ国以上で翻訳刊行され、一躍、著者を世界で最も注目される都市経済学者にした。ワシントン・マンスリー誌 の最優秀政治書籍を受賞。その他の著書にThe Flight of the Creative Class(邦訳『クリエイティブ・クラスの世紀』)など。