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久しぶりに昼行灯さんとお買得に行きました。

なんと!
キムチ鍋の素が100円!\xAD\xF4(゜Д゜)


急遽メニューを変更し、エノキと豚肉を購入。
ホクホクして帰宅し、わたくしがご飯を炊き、鍋は鍋奉行におまかせ。


煮込みが足りなかったのか、ちょっと薄かった……。
スープは旨い(^-^)v


明日はご飯をいれていただきますよ!
 ティセットは、確かにお祝いをしようと言った。
 だが、「みんなで」の意味が通じなかったようだ。

「ティスおかわりー!」
「川の水汲んで来い!」
「肉串追加ねー!」
「生でいいか!?」
「店員さんこっちも!」
「取りに来い!」

 ニッチの酒場は東寮の学生で埋め尽くされていた。
 常連客も混ざって訳がわからなくなっている。
 ヨウスが店と学舎を往復する間にこれだけの人数が集まってしまったらしい。
 見物屋からお誘いが来そうだ。

 主役のトルクは即席の舞台で、拳を振り上げ歌っている。
 相変わらず無駄に巧い。
 歌劇団で花形になれるかも。
 もちろん、台詞を覚えられたらの話だ。

 ルフェランの姿は見えない。
 おそらく、商学の中級試験に落ちたのだろう。
 寮室で不貞腐れているはず。



「ティース!」
「はい!」
 厨房から呼ばれて飛んで行けば、極盛りパテスが待ち構えていた。
「誰だこんなの頼んだの!」
 客席から確信犯たちの笑い声が聞こえた。

「ティス、手伝うよ」
 持つべきものは友だ。
 腕捲りをしたヨウスを見て涙が出た。

「重いからな」
「どの席?」
 二人で恐る恐る運ぶ。
 学生の中には初めて見るものもいて、あまりの大きさに驚いた。

 確信犯たちの机に極盛りパテスを置くと、予想以上の盛りにどよめきが起きる。
 祝いの席だからと、ニッチの親父が盛りに盛ってくれたのだ。

 ティセットは意地の悪い顔で笑う。
「当店お勧め極盛りパテスは、残されますとお代金が倍になりますので、ご留意ください」
「うわ! ヒデー!」
「極悪だ極悪!」
「ってか自腹?」
「うるさい、食え!
 食い尽くせ!」

 食べ盛りの学生たちに喝を入れるティセット。
 いつも以上に気合いが入っている。

 ルフェランには悪いが、あのトルクが合格したのだ。
 喜ばないわけにはいかない。
 一旦学舎に戻ったヨウスも、改めて学生証を受け取りにいき、合否を確認した。
 言うまでもない、合格だ。

 教室の前で騒いだことも無駄にならずに済んだ。
 ただ、ルフェランが“彼女”に会ったらしいことは気になった。
 それもあって、宴会に混ざる気になれなかったのかもしれない。



「ティス」
 ヨウスが袖を引く。
 その手には、客席には絶対に出ない賄いが二人分、乗っている。
「親父さんが、休憩しろって」
 ホッと息を吐いて、ティセットは頷いた。

 厨房から二階の住居に上がる階段に座り、賄いをひとつ受け取る。
 ニッチのお女将さんが顔を出して「オマケだよ」と、酒杯を差し出す。
 祝いの席にしかでないオックルという強い酒だ。

 乾杯、と酒杯を合わせる。
 恐る恐る酒を舐めると、甘いものが口腔を駆け抜け、かと思ったら喉で火になった。
 ティセットがくぅっと唸るその隣りで、ヨウスは噎せていた。

 大きな肉の塊にかぶりつくと、口腔は肉汁でいっぱいになる。
 強い酒で焼けた喉に染みる。
「旨い!」
 文句なしだ。

「ごめんな。
 結局、手伝わせて」
「久しぶりに楽しかったよ」
「そっか。
 前に酒場にいたんだっけ?」
 何も絡まれやすい職に就かなくてもいいのに。

「賄い、旨いだろ?」
「うん、旨い。
 店に出したら売り切れるな」
「だろ?」
 同じことを思っていたので、ヨウスに言われて嬉しかった。

 二人してペロリと平らげ、チビチビと酒を舐める。
 ティス、とヨウスが呼んだ。
 振り向くと、真剣な目とぶつかった。
「謝っておきたいことがある」
「……なんだよ、改まって」
「他にはどんな国に行ったの?」
「西大陸の大国は大体」
「それじゃ、皇都にも行ったことあるの?」
「あるよ」

「こことどう?
 比べ物にならない?」
「街が三つ繋がってるから、余計に大きく見えるけど……。
 確かに、皇宮は大きかった」

「皇宮のなかに入れるってホント?」
「第一門だけなら入れるよ。
 一般兵の居住があって、家族が行き来しやすくなってる」

「第一門って何?」
「身分によって、入れる場所が決まってるんだ。
 第一門から第五門までと奥門で六つある」

「奥門?」
「皇族の居住に繋がる門だ。
 一番奥まっていて、奥宮とも呼ばれているんだ」

 ふわー、とルリが感嘆の溜め息を上げる。
「やっぱり、ラディンネル国って田舎っぽいわよね?」
「穏やかで良い国だと思う」

 やはり都会への憧れが強いのか、ルリは目をキラキラとさせて話をせがんだ。


   *  *


 珍しい組み合わせが店にやってきた。

 ルリが言うには、
「クォーズと並んで歩くと、あたしって添え物みたいなの」
 ヨウスのことは嫌いではないが、二人だけでいたくないらしい。
 何となくわかる気がする。

「ティス、今日のは力作よ!」
 ルリは小さな包みを突き出してきた。
 過去の経験が危険を察知し、おもわずのけ反る。
「大丈夫だから!」
 難しい問題だ。

 ルリは頭が良い。
 性格もサッパリとしていて、気遣う心も持ち合わせている。
 だが、恐ろしいくらい料理が下手だ。
 不味いだけならしかたないが、寝込むほど危険なものを精製してくる。

 ティセットの反応はしかたのないことだった。

「仕込みが終わってからな」
 生きているうちに今日の仕事を片付けたい。
「新しいの?」
「魚の塩漬け」
 ルリが樽のなかを覗き込む。
「クサい!」
「漬物なんだから、当たり前だろ」
 ははは、とティセットは笑った。



「おや、誰かと思ったら、ルリじゃないか」
 厨房からニッチのお女将さんが顔を出した。
「悪いけど、あんたのお父さんに注文をいいかい?」
「はい!」
 ニッチのお女将さんが手招きするのに、ルリは駆けていった。

 それで、とヨウスを振り返る。
「どうだった?」
「ごうか……く……?」
 学生証を取り出したヨウスの手が止まる。
「どうした?」

 ヨウスは学生証の表をティセットに向けた。
「トルクのじゃないか。
 また取りに行かなかったのか!?」
 落ち続けるトルクは、このところ自分で合否を訊きにいかないのだ。
 ティセットも一度だけは代理で受け取りに行ったが、馬鹿らしくなって辞めた。

「どうせまた落ちたんだろ?」
「合格だよ」
「だろ?
 もうこれで何回目だよ!
 ……って?」

「トルクは、合格してた」

「…………」
「…………」
「…………ウソ」
 ヨウスは丁寧に学生証を袖で拭い、表裏を目の前で披露してくれた。

 間違いない。
 トルディス・カル・フェナッタ。
 語学中級、取得。

「…………奇跡だ」
「そうなのか?」
「だって、あのトルクが……」
「試験のあとに答え合わせをしたけど、問題なさそうだった」
「でもヨウス、トルクなんだぞ!?」

 残念なことに、トルクがこれまで散々な結果を出してきたことをヨウスは知らない。
 交換生に選ばれたこと自体が間違いな気がするほどトルクの頭は悪いのだ。

 それが、合格したなんて……。

「明日、黒板が降るかも」
「…………」
 ティセットの呟きに、ヨウスは苦笑した。
「トルクはがんばったよ。
 ちゃんと結果が教えている」
「……うん、そうだな」

 そう。
 これは喜ぶべきことなのだ。

「よし!
 ヨウス、トルクたち呼んで来いよ。
 みんなでお祝いしよう!」