家に帰って来てから、どれくらいの時間こうしてたんだろう。辺りが暗くなったのにも気付かず、どうやら椅子に座ったまま動けずに居たらしい。
急に部屋の明かりが付き、驚いて声も出なかった。目の前には、私と同じく驚いた表情の隆行が立っていた。いるなら電気位付けたら、という尤もな意見も私の耳には届かず。頭の中でずっと考えていたことを、思わず口に出してしまった。
産んで、良かったのかな
え?
ミユ、産まれてこない方が良かったのかな
何馬鹿なこと言ってんだよ!ミユに失礼だろっ!
!?…ご、ごめんなさい。私…ごめん、なさい。。
あ、いや。ごめん、大きな声出して。
んーん、、ご、めん。私が…
悪かった。お前も頑張ってるのにな。
んーん。。頑張って、るのは、ミユだから。。
…明日は俺が病院行くから、お前はたまには家でゆっくりしてろよ。
え?でも、私も。。
たまには。お前の為にも、ミユの為にも。な?
うん…。あり、がと。。ズズ。今日ミユね、サンタさんに手紙書いたの。
そっかぁ。。
だから、明日は大きな靴下持ってく約束したの。
そっか。俺が持ってくよ。
うん…
ミユから見えないところでは、私はただの泣き虫になってしまう。隆行にはいつも迷惑をかけてしまっていて、本当にいつ見捨てられてもおかしくない。
サンタクロースにするお願いは、大抵玩具なんじゃないかな。ミユ位の年の女の子だったら、お人形さんとか縫いぐるみとか。絵本とかも、いいかも。
でも、ミユが書いた手紙は「雪で遊びたい」。外で遊んだこと、一度も無いもんね。毎日ベットの上から、窓の外見てるだけだもん。つまんないよね。
サンタさん、私からもお願いします。今年はホワイトクリスマスで、ミユにどうか雪を見せてあげて下さい。ミユ、きっと喜びます。何十年ぶりかな、こうしてサンタさんに手紙書くの。ママも靴下に入れて、枕元に吊るしておくよ。ミユ、一緒に祈ろう?きっと叶うから。きっと。
また つづく。