「恋心を注いで」⑱ | My-Hero

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ヒーローに憧れた夢。

ねぇ、いつまでこんなところでコソコソ見てるつもり?早く行こーよーぉ。

え~。だって先生忙しそうだよ?

じゃあ、写真いーの?

やだよそれは!

だったら行くしかないじゃん。

でもでも、他の先生がいるところで声かけると先生恥ずかしいだろうし。

プリンのときとかおーすッチ、かなり焦ってたもんねw

でしょ?見てよ、あの職員室の盛況っぷり。

盛況ってなんだよ。じゃあ仕方ないからこっから撮る?

えーーー。ツーショットぉ

だって、行けないんでしょ?じゃあ仕方ないじゃん。

でも、ほら、盗撮は良くないし。犯罪だし。

もう既にこれ、ストーカーなんですけど。

いやいや、ストーカーじゃないよ!ただ遠くから見てるだけじゃん。。

世の中はそれをストーカーと呼んでいます。

だってー。

ストーカーは犯罪です。

でもー。あ、見てみて!今度は先生…あ、あれ?ちょっと待って、職員室出るんじゃない?

行こっ!

え、ちょっ、ちょっ、

ほら、早く行くよ!

で、でもぉ



コの字型に曲がった渡り廊下の向こうに、職員室の大きな窓が見える。七江は、その中に大須先生の姿を認めた。先生はとても忙しそうに動き回っている。

パソコンとにらめっこしていたかと思うと、印刷した用紙をコピー機まで取りに行く。作業机に戻り、今度は書類とにらめっこ発動。また相手をパソコンに戻し、再び戦闘開始。こんな一連の作業を永遠と繰り返している。

流石に年度末だけあって大須先生ばかりでなく、忙しそうな先生で職員室は溢れていた。早くも「ラブラブ!大須先生とのツーショット写真をgetせよ‼~バスケットボールを添えて~」は窮地に立たされることとなった。

どれくらい待っただろうか。大須先生を、こんなに長い時間見続けたのは初めてだった。授業中とはまた違った表情を見せてくれる先生。こっちの先生もカッコイイなー。全然飽きないストーカー擬きも板に付いてきた頃、ついに先生が職員室を出てきた。





また つづく。