「恋心を注いで」⑭ | My-Hero

My-Hero

ヒーローに憧れた夢。



先生、怒ってなかった



あの事件以来、初めて喋ったかもしれない。私たちから寄せられた意見は、大須先生本人にも届いているはず。私も、その中の一人なのに。私も、こっち側の生徒なのに。

先生は、生徒を怒ってはいなかったんだ。なんて強い人なんだろう。もしも私だったら、嫌いになっちゃってたかもしれないのに。きっと私は、弱い人間だから。でも、大須先生は違った。めっちゃスゴイ。尊敬する。カッコイイ。

もっと早く話しかけてれば良かった。同じ学校で過ごせる時間は、あともうほんの少ししかないのに。もっと色々話したかった。もっといっぱいバスケット見せてほしかった。

…なんか、寂しくなってきちゃったなぁ。そーだっ、クッキーもらったんだった。ふふ、何度見てもこのクマさんカワイイ~。そっか、ちょっと先生に似てるんだ。うまっ。これめっちゃおいしーぃ。


ヒロ!それさぁ、本当に昨日なんだよね!?

う、うんっ。じゃーん!見てみて、カワイイでしょ?

へ~。おーすッチもなかなかやるじゃん。

実はー、へへ。先生も保険のおばちゃんにもらったんだって。食べないからって、くれただけ。びっくりした??

それはナイ!

え?

おーすッチ、ちゃんと自分でヒロのために買いに行ったんだよ。

えぇっ!?でも先生が言ったんだよ?もらったって。

ホワイトデーのお返しに、クッキーくれたんだよ。やったじゃん、ヒロ!

ホワイトデー?

バレンタインチョコあげてたじゃん。ほら、アンタがめーっちゃコケたやつ。

ちょっとー、思い出させないでよぉ。

ハハハ。でも良かったじゃん。ホワイトデー返ってきて。

そんなの先生たぶん覚えてないよー。

アンタが忘れたかっただけでしょ。


昨日は確かに3月14日、ホワイトデーだった。でも、本当にそーなのかなぁ?先生、ホワイトデーにクッキーくれたのかなぁ?

だったら言ってくれればいいのに。ま、私も気付けば良かったんだけど。バレンタインがあんなだったから、すっかり頭から消えちゃってたよー。

でも、じゃあなんで先生もらったなんて嘘ついたんだろ。保険のおばちゃんまで言ってたけど…。んー。たぶん、昨日が14日だったのは偶然。その方がロマンチックじゃない?奇跡のホワイトデーだよ。うん、悪くない。





また みつけます。