「恋心を注いで」② | My-Hero

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ヒーローに憧れた夢。

でさーヒロ、おーすッチのどこが好きな訳?

えーーー、なにそれ?私いつそんなこと言ったっけ??

分かりやすっ。ま、私だけじゃないしね。みんな知ってることだし。

みんな??え、でも、私全然そんなことないし。。

おーすッチって顔恐くない?

でもさ、時々笑うと笑顔可愛いよね。

ふーん。ま、ガンバれ。

あ…。ねぇ、ちょっと今のズルいー。


なんとも恥ずかしいことではあるが、七江が大須先生を好きなことは、クラスのみんなに知れ渡っていた。何故みんなが知るとことなったのか七江だけが不思議がっていたが、彼女の行動を見れば誰でも一目瞭然である。と言うことは、大須先生も気付いていたのであろうか。

七江の響きは名前の様であるが、これは苗字である。下の名前は尋(ひろ)といい、友だちや親からはそのまま“ヒロ”と呼ばれていた。尋って文字はスマートな感じがするし、響きも可愛く割りと気に入っていた。しかし七江の漢字は、書くときにバランスが取りにくく余り好きではなかった。

しかし珍しさには定評があり、今回も大須先生に覚えてもらい易かったと思われる。この大役を果たし、晴れてお気に入りの苗字と相成った次第である。高校二年生で、産まれて初めて七江で良かったと心から思えたのだった。


先生ー!髪の毛切ったんですね。

あぁ、うん。

先生ー!その髪型似合ってますね。

短くしただけだからな。

先生ー!髪の毛ツンツンですね。

髪質がな。

ワックスとかじゃないんだ。確かに硬そうですね。

寝癖付かなくて楽だけどな。

あはは、便利ですね!

七江に言われると、馬鹿にされてるみたいだよな。

なんでそうなるんですかー。褒めてるんですよ!


元来人見知りである七江がここまで一人の教師と仲良くなれたのは、春夏秋と多くの季節にたくさんの恋心を注いできた賜物である。本当に良く頑張っていたと思う。季節は早くも冬へと、その身支度を急いでいた。





また つづく。